石原常八の龍尽くし‼︎ [宿稲荷神社 再訪 其の一] 群馬県

海老虹梁の龍 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和五年一月中旬 群馬県榛東村の宿稲荷神社に再訪しました。

龍が沢山あるので今回は 龍に絞って紹介します。

宿稲荷神社鳥居

天文十年(1541)創建
元治元年(1864)本殿拝殿築造
御祭神 宇迦之御魂神うかのみたまのかみ 波邇夜麻姫命はにやすひめのみこと
本殿拝殿彫師 花輪 三代目石原常八と一門 沼田 関左膳正義 と推定

拝殿

宿稲荷神社
千鳥破風の龍
拝殿千鳥破風の龍

案内板には「石原常造・常八・常八郎他一族の手になる」とあります。

兎の毛通の応龍
拝殿唐破風兎の毛通の応龍

石原常造というのは三代・石原常八の事みたいですね。

八岐大蛇
拝殿向拝中備の八岐大蛇
八岐大蛇
拝殿向拝中備の八岐大蛇

こちら↓は須影八幡神社胴羽目の八岐大蛇。三代・石原常八の作品とされている様ですが、なるほどそっくりですね。

須影八幡神社胴羽目の八岐大蛇
扉の龍

他に歓喜院貴惣門の龍も三代・石原常八がメインで彫ったと言われているみたいです。

扉の龍
拝殿正面扉の龍
扉の龍
拝殿正面扉の龍

令和元年に参拝した時はここの龍たちにブッ飛びました。

扉の龍
拝殿正面扉の龍
扉の龍
扉の龍
拝殿正面扉の龍
扉の龍

桁隠しの応龍は少し趣きが違います。

桁隠しの龍
拝殿桁隠しの龍

一門の彫師の他に関左膳正義という人がいたみたいですから、全部が石原一門という訳ではないのだと思います。

桁隠しの龍
拝殿桁隠しの龍

御本殿

御本殿の龍も凄いんです。

宿稲荷神社御本殿

私が寺社彫刻巡りを始めたきっかけは龍の勉強の為です。

海老虹梁の龍
海老虹梁の龍

龍の何が難しいって 実際にはいない物ですからね

海老虹梁の龍
海老虹梁の龍

いかに本物っぽく表現するか

海老虹梁の龍
海老虹梁の龍

それでいて リアル過ぎてもつまらない物になってしまいます。

海老虹梁の龍
海老虹梁の龍
海老虹梁の龍
海老虹梁の龍

四年前の記事で、ここで一つの解答を見つけた気がすると書きましたが、実際には、過去の偉人の作品を自分の仕事に落とし込む事は非常に困難な作業です。

向拝柱の龍
向拝柱の龍

そのまま真似してしまっては自分ではなくなるし

向拝柱の龍
向拝柱の龍

なんてったって異業種

向拝柱の龍
向拝柱の龍

作法さくほうも違えば 対象物も違います。

向拝柱の龍
向拝柱の龍

それでも下敷きとなる伝説や物語など 共通する部分も多いです。

向拝柱の龍
向拝柱の龍

浮世絵と刺青は「江戸文化の双子の徒花あだばな」なんて云いますが

向拝柱の龍
向拝柱の龍

それに宮彫りを加えて「三つ子の徒花」と言いたいです。

向拝柱の龍
向拝柱の龍

徒花を辞書で引くと「咲いても実を結ばずに散る花。転じて、実 (じつ) を伴わない物事。むだ花」とあります。

扉脇板の龍
正面扉脇板の龍

神社を徒花なんて 神様に失礼な気もしますが

扉上の龍
扉上斗栱間の龍

世の人の宮彫りに対する扱いは まさにそんな感じですよね。

斗栱間の龍
右面斗栱間の龍

生きる為に不要不急な物・・・・・・ 芸術ってのはそういう物です。

斗栱間の龍
背面斗栱間の龍

もっと世に広く認められると良い と思いますが

斗栱間の龍
背面斗栱間の龍

大事に仕舞って 隠して見えない様にするっていうんじゃ 困ります。

斗栱間の龍
左面斗栱間の龍

胴羽目の写真も撮って来たので其の二で紹介します。

刺青師・龍元

025-01(2023.02.27)

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