令和三年四月、群馬県伊勢崎市の伊勢崎神社に参拝しました。
私は出張の際に群馬県を通るので少しずつこの辺りを回っていて、前から楽しみにしていた神社です。
建保元年(1213)創建
御祭神 保食神
拝殿
昭和十一年(1936)造営
彫師 池田長光
唐破風懸魚には鳳凰がありました。
水引虹梁上には子引き龍。
木鼻の獅子。ここの獅子は本当にデカイです。お寺さんでもこの大きさは中々見ないですね。
海老虹梁に巻きつく龍。龍が小さいですが、海老虹梁がすごく太いので余計に小さく見えます。
ここの龍も尻尾の先端が毛になっています。
右側脇障子は「楠親子桜井駅の別れ」。その前は物置になっていました。
御本殿
嘉永元年(1848)造営
彫師 上州花輪石原常八郎 石原常次郎
武州本庄駅武正常三郎
東都日本橋後藤三次橘恒徳
胴羽目には「金龍周の武王を護る」がありました。
脇障子は「玉巵弾琴」。その上の龍も良い感じです。
御本殿と幣殿がつながっていて、海老虹梁の上下の壁は彫り物で埋め尽くされていました。
浜床下蹴込は波に亀。
背面もすごい事になってます。
唐破風懸魚は鳳凰仙人の梅福。
修復した痕なのでしょうか、所々色が明るくなっていて不思議な感じです。
「養老の瀧」。
腰羽目は左右背面とも唐獅子と亀でした。
左面。
胴羽目の上には子引き龍、その上に鶏・錦鶏・鶴・梟など鳥の彫り物。
胴羽目は「一枝乃春」。南朝・宋の陸凱という人が友人の范曄が住む長安に向かう使者に一枝の梅の花を託すという漢詩を表現したものの様です。
贈范曄 范曄に贈る
折花逢驛使 花を折って 駅使に逢った
寄與隴頭人 隴頭の人に渡してくれと
江南無所有 江南には何も無いが
聊贈一枝春 ただ一枝の春を贈るよ
う〜ん、風雅な事をする人がいたもんですな。
脇障子はお馴染みの「須佐之男命の大蛇退治」。
こちら側の御本殿と幣殿の間にも応龍がありました。トゲトゲの代わりに毛のタイプ。
縁下の持ち送りにも精緻な彫り物がありました。
階段の下には猛虎がありました。この神社で一番印象的だった彫り物です。向かって左側に三本爪の足が見えます。最初、これは虎の右前足で、その隣が左前足だと思いました。向きが変だなぁと思っていたんですが。。。
よく見ると、さらにその右に三本の爪が見えます。という事は向かって左側に見える三本爪は虎の右後ろ足。めちゃくちゃ股裂けてるじゃん。
こんなにデッサンが狂っているのに、この虎には不思議なチカラがありますね。虎がのっそりと動いている感じがします。風がビュービュー吹いちゃってるし。
これが”面白み”なのかも知れません。こういう絵が描けるようになりたいです。いやぁ、勉強になります。
刺青師・龍元
067(2021.05.07)
コメント
onijiiです。
石原常八は名工三八の一人と言われた
そうですね。
こうしてじっくり見てみると、見事さ
が分かりますね。
自分は主目的が違うので、じっくりと
鑑賞もせず歩き回ってます。
このブログは彫刻博物館のようなもの。
ありがとうございます。
あっ、これ風だったんですね。(笑)
宮彫師には八のつく名前が多いですね。常八・伊八・音八・源八・又八・吟八…
ところで常八郎というのは常八の事という理解で良いのでしょうか?宿稲荷神社の解説板では「常造、常八、常八郎他一族の〜」という様に別人として表記されています。まあ、宿稲荷の解説板は勘違いや誤植があってあまり信用出来ないのですが(そういう僕のブログも誤植や間違いだらけです)。
どうやら、常八郎は二代常八、常次郎は三代常八と推定されているみたいですね。