龍虎と仏教説話 [吉見観音安楽寺] 埼玉県

令和七年十二月中旬　埼玉県吉見町の吉見観音安楽寺に参詣しました。

仁王門外周と内部の梁の上には 花鳥などの他　人物を彫った蟇股がありました。

正面中央の蟇股。布袋尊ほていそんです。

内部の蟇股のうちの一つ。

釣鐘と人物で思いつくのは 釣鐘弁慶つりがねべんけい。だとしたら激珍ですが もしかしたら違うかも？

釣鐘弁慶とは 別名 弁慶の引き摺り鐘。比叡山延暦寺の僧兵だった弁慶が 対抗勢力だった三井寺に伝わる 秀郷の釣鐘を奪って比叡山に担ぎ上げた　という話。

境内側中央の蟇股は　許由巣父きょゆうそうほ。

帝に帝位を譲ろうと言われた許由は「穢らわしい事を聞いて耳が汚れた」と言って 川の流れでの耳をすすいだ　と言います。

牛に水を飲ませようと川に向かっていた巣父は この話を聞いて「穢れた水を牛に飲ませる訳にはいかない」と言って 来た道を引き返した　と言います。

が　立っているのは なぜか女の人。悲しいかな　塗師はこの話を知らなかったと見えます。知らなければ この髪型では女性と思っても無理ないのかも。

左右妻には力神さまが御座しました。

角がありませんが　私の分類では 邪鬼型力神です。

歯を噛み締めている様に見えますが　阿形です。

反対側は 吽形の青鬼。

グリーンですが 青鬼です。青リンゴや信号機の青です。

1949年に出版された「泣いた赤鬼」という絵本にはグリーンの青鬼が描かれていたそうです。でも現在はブルー系の青鬼が多いらしいです。

お目当ては観音堂。寛文元年（1661）に再建されたそうです。

どこもかしこも 千社札がぎっしりです。

源頼政と猪早太の鵺退治の絵馬。

春秋左氏伝を読む関羽雲長の絵馬。

内外陣の境に3点の欄間がありました。それにしても千社札が凄い。

左端は虎です。

何故か 虎の手前にタケノコがあります。構図的に何か意味があるのでしょうか？

タケノコの陰で 鑿の様な物が虎に刺さっている様に見えます。これは一体何なんでしょう？

右端は龍。

左右で龍虎という事の様です。

さて　いよいよ本命 中央の欄間です。

さて　これは一体どういう場面でしょう？

馬に乗った武人と空からやって来る様な武人。観音様もいます。

その先には沢山の鬼が。。。

こちらのお方は 閻魔さまの様な感じ。

武人に斬られる鬼。

血みどろです。

頭パックリ割れてます。

きっと仏教説話の一つだと思うのですが。。。私は仏教徒ではないので　仏教についてはあまり詳しくありません。どなたかご教示頂ければ幸いです。

良いお寺でした。

刺青師・龍元

077（2025.12.26）