刺青図柄の意味 猪早太の鵺退治

猪早太の鵺退治 武者絵
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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猪早太

生没年不詳 平安時代末期の武将
源頼政 の郎党

平家物語・源平盛衰記などの鵺退治伝説で有名だが、その他の事跡を表した文献はほとんど無く、実在を疑う見方もある。

鵺退治

平安末期、天皇の御所・清涼殿に夜毎、黒煙と共に不気味な鳴き声が響き渡り、遂に二条天皇が病についてしまった。物の怪の仕業と考えた側近たちは、かつて源義家が弓を鳴らして怪事を止ませた前例に倣い、弓の達人である 源頼政 に怪物退治を命じた。

頼政 が家来の猪早太を連れて怪物退治に出向くと、清涼殿を黒煙が覆い始めたので、先祖である 源頼光 から伝わるという二本の矢の内の「水波」を黒煙の真ん中辺りに放った。驚いた怪物の鳴き声でその位置を確かめた 頼政 は、次にもう一本の「兵波」を射った。すると悲鳴と共に何かが落下した。そこをすかさず早太が取り押さえて、「骨食」という短刀でとどめを刺したという。

猪早太の鵺退治

様々な文献に登場し、「古事記」や「万葉集」にもその名が見られる。ヒョーヒョーと不気味な声で鳴き、当時の貴族の間で恐れられた。頭は猿・胴体は狸・手足は虎・尾は蛇とされる。

平家物語では「鵺の声で鳴く得体の知れないもの」と描写され、早太が留めを刺した怪物が鵺であるとは言っていないが、現在ではこの怪物が鵺であるとされている。

(絵本写宝袋第七巻)
(絵本写宝袋第七巻 兵庫頭源頼政)

伝説としての鵺退治

源頼政・猪早太の鵺退治伝説は、まじないの為に四方に鏑矢を放つ奉射神事(ぶしゃしんじ)であり、「鵺の身体の部分と猪早太の名前」は方角を表すとする考察も有る。
頭が猿=未申・南西
尾が蛇=辰巳・南東
手足が虎=丑寅・北東
猪早太=戌亥・北西

猪早太の鵺退治
(猪早太の鵺退治 長野県上田市 誉田足玉神社 本殿正面扉脇板)

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