彫工 長坂政右工門恒教 [若宮八幡神社] 千葉県

応龍 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和六年 新年寺社彫刻巡礼の旅 第二社目 千葉県市原市の若宮八幡神社に参拝しました。

若宮八幡神社鳥居

貞観年間(859-877)創建
弘化四年(1847)社殿の彫刻が奉納される
大正期(1912-26)現御本殿再建
昭和六十三年(1988)現拝殿改築
御祭神 大佐佐氣命おおささきのみこと
彫師 長坂政右工門恒教

若宮八幡神社

向拝軒下太瓶束には力神さまが御坐します。

若宮八幡神社向拝

拝殿は子供の火遊びにより出火 昭和六十三年に改築された様ですので この力神さまは火事を逃れた物を流用したのでしょう。

力神
力神

御本殿右面です。

若宮八幡神社御本殿

妻飾りには麒麟がありました。

麒麟

大虹梁上には波に犀。

波に犀

彫刻が奉納されたのが1847年 現御本殿が改築されたのが大正期(1912-26)なので こちらの彫刻も流用なのでしょう。

若宮八幡神社御本殿右面

全部なのか 一部が流用なのかは分かりませんが 柱に取り付けられたこれ↓はどう見ても この場所のために彫られた物ではなさそうです。

唐獅子牡丹

脇障子は桐の花と鳳凰。

鳳凰

背面は胴羽目部分に彫刻があります。

若宮八幡神社御本殿背面

唐獅子の親子と牡丹です。

唐獅子牡丹

これも 元々はどういう所に取り付けられていたのか よく分からない形をしています。

唐獅子牡丹

精緻な彫りで 一流の彫師の作品だと思います。私は確認しなかったのですが 拝殿向拝中備の松鷹の裏に 長坂政右工門恒教 の銘があるそうです。

応龍

後ろ脚があるので もう化け鯉ではなく 応龍に成りたての 私の勝手な分類では前期型応龍です。

応龍

こちらは後期型応龍ですね。凄い迫力です。

応龍
応龍

左面の妻飾り。

若宮八幡神社御本殿左面妻飾り

こちらの麒麟も 大迫力です。

麒麟

大虹梁上の波に犀。

波に犀
若宮八幡神社御本殿左面

桐の花に鳳凰です。

鳳凰

唐獅子牡丹。

唐獅子牡丹

二頭とも突き落とされた様な体勢になっていて もしかしたら元々は この上に親獅子がいたんじゃないかなぁ と推察します。

唐獅子牡丹

それにしても この首は一体どういう事になっているのか?

唐獅子牡丹

まるで折れた様に首が後ろに反り返っていて 現場でこの彫り物を理解するのに かなりの時間が掛かりました。

唐獅子牡丹

腕の良い熟練工の作品の様なので この頭の反り返った獅子は かなり実験的な試みだったのではないでしょうか?

ここはここで 変わっていて面白いと思いました。

刺青師・龍元

002(2024.01.07)

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