あけましておめでとうございます。
令和六年も新年寺社彫刻巡礼の旅に出かけてきました。例年は茨城県を廻っていますが 期間限定のホットなタレコミがあったので 今年は千葉県北部を 空振りを含めて合計三十社廻りました。
初日一社目は千葉県市原市の富貴稲荷神社に参拝しました。
![富貴稲荷神社鳥居](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8096-1.jpeg)
拝殿はなく 門のところから拝む様になっています。
![富貴稲荷神社](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8081-1.jpeg)
門の梁の上には虎が二匹。
![虎](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6670-1.jpg)
躍動感あふれる虎です。
![虎](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6673-1.jpg)
![虎](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6675-1.jpg)
享保十三年(1728)勧請
![富貴稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8087-1.jpeg)
左側脇障子には鳥が彫られています。牡丹が合わせてあるのと 右側の脇障子との兼ね合いから推して 雌の孔雀かと思います。
![雌孔雀?](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6710-1.jpg)
三間社なので 向拝中備も三つ。
![向拝中備](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6677-1.jpg)
左から 錦鶏
![錦鶏](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6703-1.jpg)
龍
![龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6707-1.jpg)
松鶴 の順に並びます。
![鶴](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6708-1.jpg)
右側脇障子は雄の孔雀。悲しい事に首がもげてしまっている様です。
![孔雀](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6711-1.jpg)
![富貴稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8082-1.jpeg)
正面扉には 稲荷らしく 宝珠と宝鑰が彫られていました。
![宝珠 宝鑰](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6713-1.jpg)
胴羽目を雨から守るため ぐるりと庇が架けてあります。
![富貴稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8083-1.jpeg)
胴羽目は縦長のものが二枚。少しズレてしまってます。
![富貴稲荷神社胴羽目](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6678-1.jpg)
左側は三条小鍛冶宗近です。
![三条小鍛冶宗近](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6679-1.jpg)
「勅命で御剣を打つ事になった宗近は 刀の鍛錬に必要な自分と同等の相方を見つけられず 進退極まって稲荷明神に祈願した
![三条小鍛冶宗近](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6718-1.jpg)
礼拝をしていると 稲荷明神から狐の精霊がやって来て相槌を務めると言う
こうして完成した御剣『小狐丸』が朝廷に献上された」
![稲荷神](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6717-1.jpg)
右側は 邪馬台詩を読み解く吉備真備。
![吉備真備](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6680-1.jpg)
吉備真備は奈良時代の公卿で学者です。
![吉備真備](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6723-1.jpg)
「真備は遣唐使の留学生となり 唐の玄宗に謁見した時に 邪馬台詩の解読を命じられるが 詩は文がバラバラに書かれていて まともに読めなかった
![吉備真備](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6720-1.jpg)
真備が困り果てて日本の神仏に祈ると 蜘蛛が落ちてきて 蜘蛛の這った後を追うと 無事読むことができたという」
![蜘蛛](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6721-1.jpg)
邪馬台詩というのはノストラダムスみたいな 一種の予言詩で 昔からムー的な人たちの間ではチョット知られた詩です。
![邪馬台詩](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_9709.jpeg)
寺社彫刻でこの図柄を見るのは 初めてだと思いますが 年初めから初めましての絵柄でゲンが良いです。
![邪馬台詩 経典余師 星文閣藏梓](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_9708.jpeg)
背面に廻ります。
![富貴稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8084-1.jpeg)
三間社なので胴羽目も三枚。
![富貴稲荷神社胴羽目](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6727-1.jpg)
波と松の木。
![松の木](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6724-1.jpg)
中央は 松鷹。
![松に鷹](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6725-1.jpg)
右も松鷹。
![松に鷹](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6726-1.jpg)
左面。
![富貴稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_8085-1.jpeg)
こちらは二枚で一組。
![富貴稲荷神社胴羽目](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6685-1.jpg)
鞍馬山僧正坊から兵法書を授かる牛若丸です。
![牛若丸](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6730-1.jpg)
ここは私が廻る神社の中では かなり大きめの社殿なので 大きさに比べて彫りが浅めに見えてしまいます。
![牛若丸](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6728-1.jpg)
が 実際には かなり彫り込んであります。
![牛若丸](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6739-1.jpg)
鞍馬山僧正坊。いわゆる鞍馬天狗です。
![鞍馬山僧正坊](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6731-1.jpg)
天狗と言っても 鼻の造形は普通です。
![鞍馬山僧正坊](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/01/IMG_6736-1.jpg)
どの彫り物も 写実的で正確なデッサンと 緻密な彫りで仕上げられていて 一流の工匠の作品と思われます。
刺青師・龍元
001(2024.01.06)
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