令和三年新年巡礼の旅、十社目は茨城県つくば市の一ノ矢八坂神社です。
貞観年中(859−877)勧請
延宝四年(1676)本殿造営
宝永八年(1711)拝殿造営(本殿も宝永八年造営との説あり)
慶応三年(1867)覆屋造営
御祭神 牛頭天王(素戔嗚尊)
彫師 佐藤市之丞 根本賀矢衛
拝殿側面の入母屋破風には鶏頭がありました。鶏ですよね?もしかして鷹?いやいや鳳凰か。
御本殿覆屋
覆屋にも立派な彫り物が施されていました。
斗栱間には鶴、頭貫上には龍。
同じく鶴、その下に虎。他に亀や金鶏などが並んでいました。
御本殿右面
胴羽目は紋章と地紋彫りです。
大虹梁上には力神さまが物凄い形相で口を開けています。
海老虹梁は龍。元は彩色されていた様ですが、今はもうすっかり剝がれ落ち、白い胡粉だけが残っています。
木階下には許由巣父がありました。皇帝に位を譲ると言われ「耳が穢れた」と言って、滝で耳を洗う偏屈ジジイの許由と、「穢れた耳を洗った水を牛に飲ます訳にはいかん」と言って変人比べをする巣父。どちらが変人でしょうか。
縁下の蟇股左側には虎渓三笑。晋の慧遠法師は虎渓の橋を二度と渡るまいと誓ったが、訪ねてきた陶淵明と陸修静を送っていく際に話に夢中になって橋を越えてしまったのに気付いて三人で笑った、という世捨て人の話。
縁下蟇股右側。「これは『李下不正冠(李下に冠を正さず)』でどうでしょう」とコメントを貰った赤城神社の彫り物に似ています。
↓赤城神社右面胴羽目。「李下不正冠」で間違いなさそうですが、どなたか典拠・出典の絵をご存知の方がいましたらコメントをお願いします m(_ _)m
〜追記(2023.02.06)やはりこれは「李下に冠を正さず」で間違いなさそうです。絵本寶鑑一巻第二 聖人賢人という頁に、「瓜田不納履李下不整冠」として元絵と思われる絵がありました。
追記終わり〜
御本殿背面
胴羽目は素戔嗚尊八岐大蛇退治です。ちゃんと頭が八つあって甕から酒を飲んでいます。櫛名田比売もいますね。しかし、網が邪魔ですね。仕方ないですが。
縁下の蟇股左側は囲碁です。
鳥が鶴っぽくないですが、首が取れてしまったのだと判断して、これは梅妻鶴子でしょう。
御本殿左面
大虹梁上にはしっかりと口を結んだ吽形の力神。
海老虹梁の龍。
縁下蟇股左側。巻物を持っているので鶴仙人の費長房。
右側の蟇股は三聖吸酸です。孔子、釈迦、老子が酢をなめて皆酸っぱいと感じる、つまり思想は違っても真理は一つという意味だそうです。
こちらの木階下には李白観瀑がありました。
胴羽目は一枚しかありませんでしたが、蟇股や覆屋に良い彫り物があってとても見応えがありました。
刺青師・龍元
010(21.01.21)
コメント
onijiiです。
そろそろアップされると思ってました。
勤務先の脇にあり、ここの駐車場を拠点にして
日々動き回ってます。(笑)
ここの力神との出会いが、力神探しを始める
きっかけになりました。
初めて見たのは月読神社ですが、顔の上部が
懸魚に隠れて見えません。
全体像を見たのは、ここが初めてでした。
衝撃的でした!
力神の凄い形相に圧倒されました!!
ハマりました!!!
いつのまにか、随分遠くまで力神を探しに行く
ようになりました。(笑)
本当ですか!
まさにここら辺がonijiiさんの生活圏なんですね。
お邪魔しました。
ここの力神は迫力ありますね。衝撃的だったというのも頷けます。他にも良い彫り物が揃ってますね!