令和八年九月上旬 栃木県那須塩原市の塩の湯温泉神社に参拝しました。

茗荷温泉神社と同じ覆屋に鎮座します。

手前の御本殿が塩の湯温泉神社ですね。

寛仁二年(1018)創建
慶長十六年(1611)頃 現在地に遷座
文化五年(1808)再建
御祭神 大己貴命 伊邪那岐命

向拝中備は龍です。

彫刻が茗荷温泉神社よりも充実しています。

海老虹梁や尾垂木なども立派なものが備わっています。

海老虹梁の龍は 細かい部分よりも 分かりやすさと勢いを大切にした 大胆な造形です。


胴羽目の彫刻は多分 老子でしょう。

「老子は中国春秋時代における哲学者である」と Wikipedia にありますが 老子は仙人なのでしょうか?

老子は 東海林辰三郎による中国の仙人に関する伝記をまとめた書籍・支那仙人列伝にも乗っています。

「支那仙人列伝」自体は明治44年に日本で刊行された本ですが 明代(1600年頃)に刊行された「列仙全伝」の図像をトレースしています。

太上老君とも呼ばれ 道教の最高神格である三清の一柱に数えられます。

彫刻は「老子出関」の場面。手に持っている巻物は 老子道徳経だと思われます。

周の衰退を憂いた老子は 隠棲するために牛に乗って函谷関を通る際に 関所の役人である尹喜に引き止められ 国を去るなら教えを書き残すように求められました。

老子は 全五千言からなる書物「老子道徳経」を書き残して関所を去り その後仙人になったと伝わります。

背面です。

胴羽目は猛禽です。茗荷温泉神社と同じ様に 背面は息抜き的な感じ(猛禽好きの方 ごめんなさい)。

左面です。

胴羽目は馬の様な生き物に後ろ向きに乗る人。

これは馬っぽい造形ですが 多分驢馬なのでしょう。

一日で数万里を走る白驢に乗り 休む時は紙のように折りたたんで箱にしまい 水をかけて再び驢馬に戻して旅を続けたと伝えられる 通玄先生こと 張果老だと思います。

本物の驢馬は奇蹄類ですが これは霊獣の類。割れた蹄は彫刻や絵画ではよくある表現なのだそうです。

「後ろ向きに驢馬に乗る」姿で描かれる張果老は 世俗的な欲望や名利に背を向ける という教えを象徴していると言われます。

寺社彫刻では「瓢箪から駒」が多い張果老ですが 後ろ向きではないものの 驢馬に乗った張果老らしき胴羽目を 常陸大宮市の鹿島神社で見かけた事があります。

海老虹梁の龍です。

ガオー!

覚えている限り初めましての老子と 本来の姿が珍しい張果老の彫り物に 感激でした。

今年の夏は 暑かったし個人的な事情で忙しかったので あまり彫刻巡りに行けませんでした。
設定含めて やはり頻繁にカメラを触っていないとカンが鈍るというか。。。まあ下手くそになりますね。
良い季節になって来たので 熊には気をつけながら さらに探究道を進みたいと思います。
刺青師・龍元
049-02(2026.10.27)

コメント