令和五年九月中旬 新潟県胎内市の金刀比羅神社に参拝しました。
![金刀比羅神社鳥居](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5569-1.jpeg)
池に島を造成し松を植えたという境内 少し上るとガラス張りの社殿がありました。
![金刀比羅神社](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5567-1.jpeg)
天保期(1830-43)創建
天保六年(1835)本殿竣工
嘉永四年(1851)拝殿竣工
本殿 稲垣治平
拝殿 後藤三次郎
拝殿
![金刀比羅神社拝殿向拝](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5564-1.jpeg)
案内板には「江戸から後藤三次郎を迎えて拝殿が竣工した」となっているので 向拝廻りの彫り物は後藤三次郎の作品なのだと思います。
![金刀比羅神社拝殿向拝の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5608-1.jpg)
海老虹梁の龍。
![海老虹梁の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5549-1.jpg)
彫刻には 保護の為でしょうか 何かペンキみたいなものが塗られています。
![海老虹梁の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5548-1.jpg)
海老虹梁持ち送りは 蟾蜍?これは珍だ! と思いましたが 獅子でした。
![唐獅子](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5546-1.jpg)
こちらは右側。それでも 獅子の全身の持ち送りというのも珍ではあります。
![唐獅子](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5555-1.jpg)
右側の龍はトゲではなく毛です。
![海老虹梁の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5552-1.jpg)
子龍。
![海老虹梁の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5553-1.jpg)
背びれも毛になっています。20年くらい前に刺青でたまにやっていた事がありますが 彫刻で見たのは初めて。かな?
![海老虹梁の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5570-1.jpg)
物置き状態が少し悲しい 左側回廊。
![金刀比羅神社拝殿左側面](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5548-1.jpeg)
中国風の武人と龍。 竿は少し避けさせて貰いました。
![龍と武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5508-1.jpg)
これはどなたでしょうか?
![龍と武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5511-1.jpg)
中国風龍退治には「方相と金龍」「龍を倒す張良」「漢高祖の龍退治」などがありますが 右側の脇障子が鍵になるのかも知れません。
![龍と武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5512-1.jpg)
裏側もちゃんと彫られていました。
![龍と武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5553-1.jpeg)
側面扉には唐獅子の彫り物。
![唐獅子](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5527-1.jpg)
![唐獅子](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5526-1.jpg)
正面には仙人の彫り物がありました。
鯉乗り仙人 琴高。龍子を捕まえると言って入水し 鯉に乗って帰って来たと言われます。
![鯉乗り仙人 琴高](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5535-1.jpg)
亀乗り仙人 盧敖 別名・黄安。 元々は別人だったが 今では区別が分からなくなっているらしいです。
![亀乗り仙人 盧敖](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5536-1.jpg)
西王母の娘 玉巵。 一絃琴を奏で 龍に乗って四海を飛遊します。
![玉巵弾琴](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5557-1.jpg)
鸞乗り仙人 梅福。実在の人ですが 王莽(成帝の親戚)が政治を我が物にし始めると妻子を捨てて 仙人になったと言います。
![鸞乗り仙人 梅福](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5558-1.jpg)
右側回廊。
![金刀比羅神社拝殿右側面](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5549-1.jpeg)
龍です。
![龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5588-1.jpg)
龍仙人 陳楠。人々が旱魃で苦しんでいる時 鉄腕から龍を召喚し 雨を降らせたと言います。
![龍仙人 陳楠](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5587-1.jpg)
脇障子は中国風の武人と虎。
![虎と武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5593-1.jpg)
虎退治といえば「武松の虎退治」「加藤清正の虎退治」「和藤内の虎退治」が思い浮かびますが これはその内のどれでもありませんね。
![武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5594-1.jpg)
槍などの長尺物の武器を持っているのだと思います。
![虎と武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5599-1.jpg)
左側脇障子とは龍虎で一対になっているのだと思います。こちらを見れば左側も分かるかなと思いましたが 残念 両方とも分かりません。
![虎と武人](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5602-1.jpg)
社殿側面の仙人たちと 向拝・脇障子の彫り物は作風が違う様に感じました。
御本殿
御本殿は覆屋の中に鎮座していて 背面に窓は無く 左側は波板が張られていたので 中を窺える窓は右側だけ。縦横の格子にガラス窓です。
![金刀比羅神社御本殿覆屋](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5555-1.jpeg)
案内板には「村上の名工・稲垣治平を招聘して本殿が」とあるので こちらの彫り物は稲垣治平作なのでしょう。
![金刀比羅神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5560-1.jpeg)
扉には精緻な紋様が施され 身舎柱に巻き付いた龍の頭が 梁の上にあります。
![金刀比羅神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5559-1.jpeg)
まるで御本殿の正面から撮っている様に見えますが 実は右面です。この御本殿は四方に向拝があります。
両側面向拝付きというのは大きなお寺などでたまにある様ですが 四面というのは大変珍しい形だと思います。海老虹梁が前後左右に伸びています。タコみたいです。
![金刀比羅神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2023/11/IMG_5561-1.jpeg)
その分 大きな彫り物は無いのだと思いますが。
いやあ 珍しい物を鑑賞できて嬉しいです。
刺青師・龍元
102(2023.11.06)
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