お焚き上げの穴にご注意ください [八坂神社] 茨城県

大蛇 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和七年一月中旬 茨城県土浦市の八坂神社に参拝しました。

八坂神社鳥居

応永年間(1394-1428)現在地に鎮座
元禄十三年(1700)本殿再興
享保十三年(1728)拝殿建築
享和元年(1801)本殿改修 以降年 外壁腰壁彫刻付加
御祭神 建速素戔嗚尊たけはやすさのをのみこと

八坂神社

拝殿向拝の龍。

向拝の龍
向拝の龍

御本殿

実はここは 令和二年のお正月に参拝した時には 御本殿の回りが立ち入り禁止になっていました。授与書で交渉しましたが 撃沈。

八坂神社御本殿

あの時はお正月だったからかなと思い再訪しましたが 今回も背面から左面にかけて 立ち入り禁止になっていました。

授与書で 写真を撮りたい旨をお願いすると「お焚き上げをする穴があるので 気を付けてください」との事で進入許可を頂く事が出来ました。

八坂神社御本殿

拝殿向拝の龍に似てはいますが 同じ彫師かどうかは何とも言えません。

向拝の龍

御本殿右面

案内板には「外壁腰壁の彫刻は享和元年(1801)以降に付加」となっていました。

八坂神社御本殿右面

二重虹梁間には大きな ほぼ丸彫りの鳳凰があります。

鳳凰

胴羽目は2点セットで唐獅子牡丹

唐獅子牡丹

脇障子は鳳凰仙人の蕭史しょうしです。

鳳凰仙人 蕭史

手にしているのはしょうという楽器。

蕭史

これは珍しい形の簫ですが 排簫と言って簫の一種。作例としては 深谷市の富士浅間神社↓ や 板倉町の雷電神社総本宮奥宮 で見る事が出来ます。

蕭史
深谷市 富士浅間神社

腰羽目は亀 組物間には唐子遊びがありました。

唐子 亀

御本殿背面

八坂神社御本殿背面

だいぶ傷みが激しいようですが 胴羽目は 須佐之男命八岐大蛇退治

素戔嗚尊八岐大蛇退治

須佐之男命が酒を八つの瓶に満たして待っていると 八岐大蛇がやって来て酒に頭を突っ込んで飲み干して泥酔してしまった。その隙に須佐之男命は大蛇を十拳剣で切り刻んで退治する という話。

須佐之男命

大蛇と言いながら 刺青や神社の彫刻などでは  を配置する事が多いです。八つの頭も一つに省略してある事が殆どですが この胴羽目ではちゃんと頭が八つありました。

八岐大蛇

組物間は 唐子遊び。腰羽目には 波に兎 と 波に水鳥。

唐子 波に兎 波に水鳥

御本殿左面

八坂神社御本殿左面

こちらの二重虹梁間には ほぼ丸彫りの孔雀がありました。

孔雀

胴羽目は 竹林の虎。2点セットなのか分かりませんが 何故か右側の板には竹の他に 梅と鳥(鶯?)が彫られていました。

虎 竹と梅

脇障子は 妻子を持たず 梅を妻 鶴を子の様に愛した中国北宋の詩人 林和靖りんなせいです。

林和靖

頭が欠損してしまった鶴。

鶴

林和靖の七代後の子孫の林浄因は日本に帰化して饅頭を考案。現在の御菓子老舗・塩瀬総本家に繋がるそうです。

林逋

「妻子を持たず…」の筈の アルセーヌ・ルパンや 金田一耕助 に孫がいたのと同様 林和靖もやる事はやっていたのですね。

組物間の唐子と 腰羽目の化け鯉。

唐子 化け鯉

後補とはいえ 彫り物満載です。

八坂神社御本殿

これが件のお焚き上げの穴。

陥穽

皆さんも 拝観される時はお気を付けください。

刺青師・龍元

025(2025.04.17)

コメント

  1. onijiiです より:

    onijiiです。
    立体的な鳳凰が印象的!

    梅福仙人と記してました。
    リスト修正しときます。
    ありがとうございます。

    • 梅福仙人と蕭史仙人は区別が曖昧ですよね。
      私は仙人が鳳凰に乗っていれば梅福、脇にいれば蕭史としています。
      でも、弄玉が一緒にいる時は、鳳凰に乗っていても蕭史としています。

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