双龍と八人の孝子 [神田山延命院 不動堂と観音堂] 茨城県

雷神 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和六年五月中旬 茨城県常総市の延命院に参詣しました。

ここは不動堂の裏にある将門の胴塚で知られていますが 不動堂と観音堂にも見どころがあります。

まずは 不動堂。造営年などの情報は見つかりませんでした。

延命院不動堂

向拝には見事な龍が二匹。

延命院不動堂向拝

左側の龍です。

向拝の龍

巻き毛の龍です。

向拝の龍
向拝の龍

右側の龍。

向拝の龍
向拝の龍

ここのお目当ては 宝永七年(1710)建立といわれる観音堂の二十四孝の彫刻。

観音堂

正面の左側。母を養う為に口減らしに子を埋めようとして金塊を発掘した 郭巨かくきょです。

二十四孝 郭巨

スライスされてしまってます。建立時に製作されたとしたら 300年以上前の彫り物なので 仕方ないかも。

二十四孝 郭巨

中央には編額と紋章。

延命院観音堂

右側は孟宗もうそう。病床のタケノコ好きの母のために 雪の中でタケノコを探し続け とうとう一抱えもある大きなタケノコを見つけて大喜びで駆け寄ります。

二十四孝 孟宗

でも こんなに育ってしまったタケノコ 食べられるんだろうか。

二十四孝 孟宗

右面に廻ります。

延命院観音堂

左側は 雷が鳴る度に 雷ぎらいだった母の墓前に駆けつけた 王裒おうほう

二十四孝 王裒

雷の鳴る方向が気になって 気が気ではありません。

王裒

物凄い形相で迫り来る雷神。これはお母さんでなくても恐い。

雷神

中央は 二十四孝 頻出の 唐夫人とうふじん

二十四孝 唐夫人

歯の無い姑に乳を与えます。

二十四孝 唐夫人

例の如く 遠い目をする唐夫人。「はあ… あたし 何やってんだろ…」

唐夫人

右側は 真冬に生魚が食べたいと駄々をこねる 意地悪な継母のために 凍りついた川に寝そべり 氷を溶かして魚を捕まえる王祥おうしょう

二十四孝 王祥

この魚にはお髭があるので 鯉なのでしょう。鯉の洗いでも作ったんだろうか。刺身でも美味しいですけどね。

王祥と鯉

背面は十二支の蟇股のみだったので 左面に廻ります。

延命院観音堂

左側は二十四孝の中では それ程ポピュラーではない 庾黔婁ゆけんろう

二十四孝 庾黔婁

父が不治の病になり 北斗七星(北極星)に身代わりになることを祈り続けたそうです。

庾黔婁

中央は 二十四孝 筆頭の大舜たいしゅん

二十四孝 大舜

実の父や継母 継母の連れ子に虐待を受けながらも 孝行を尽くし 皇帝にまで登り詰めます。 

大舜

舜の畑仕事を手伝う象。小鳥が象の左上にいます。

象

右側は 二十四孝のレギュラー 我らが楊香ようこうです。

二十四孝 楊香

自分の5〜6倍の重量があろうかという 巨大虎に果敢に立ち向かう 14歳の楊香。

二十四孝 楊香

木の影に隠れる父親。 もう お父さん しっかりしてくれよ!

楊香の父

という感じで 劣化してしまっているのが少し惜しいですが 素晴らしい彫り物でした。

延命院観音堂と不動堂

刺青師・龍元

051(2024.05.29)

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