令和四年 新年寺社彫刻巡礼の旅 第十八社目、福島県いわき市の諏訪神社に参拝しました。
結構長い石段を登った先に社殿がありました。
向拝にはよく見かける千社札と応神天皇誕生の彫り物がありました。
神功皇后です。精密で細かい彫りです。
生まれたばかりの応神天皇を抱く武内宿禰。
「こんなのチョロいっスよ」
「こいつ〜若造のくせに生意気言うんじゃないぞ」
表情豊か過ぎて、ちょっとワザとらしい感じがしなくもありませんが、全体的に和気あいあいという感じ。
正面左の小壁には加藤清正の虎退治。
やや!焦げた痕がありますね。危ない危ない。
加藤清正は朝鮮出兵の時、士気高揚の為にしばしば虎退治を行なったと云います。
正面右側の小壁には楠木親子櫻井駅の別れがありました。
遠くから見た時には、彫刻師とその弟子か何かの彫り物に見えてしまいました。目が悪過ぎ。
父・正成に今生の別れを告げられる楠木正行。父親から渡される物は巻物だったり、短刀だったり。
御本殿へ廻ります。
大棟鬼板にはユーモラスな鬼面がありました。
エラが張っていて、食いしばった歯は受け口です。よく見ると目玉も彫ってあります。
身舎には、古そうですが立派な胴羽目彫刻がありました。
これは玉取姫ですね。刺青でも定番の図柄です。
玉取伝説は色々なバージョンがありますが大雑把にいうと、藤原不比等の内縁の妻である海女の玉藻が龍宮に奪われた宝珠を取り返しに行く話です。
玉藻が龍宮に潜入して玉を取り返すと龍が追いかけて来ます。
玉藻は乳房の下を短刀で切り裂いて玉を隠し持ち、息も絶え絶えになりながら不比等の元に辿り着きますが、帰らぬ人となってしまいます。それにしても整った顔立ちの玉藻です。
背面に廻ります。
胴羽目は七福神ならぬ、四福神。
ちょっと後頭部のデッサンが狂い気味ですが、そこはご愛嬌。
ヘタウマというのか、何か妙な味みたいなモノがありますね。玉藻が整った顔に見えるのはたまたま?
脇障子は左右表裏すべて鯉でしたが、左側の裏面だけ鯉の他に手の長い猿もいました。
左面です。
胴羽目は、う〜ん何でしょう?須佐之男命の可能性が一番高いでしょうか。決め手に欠けますね。
櫛名田比売もしくは酒甕があれば須佐之男命の八岐大蛇退治、瓢箪があれば県守の蛟退治、船に乗っていれば禹王の龍退治と勝手に判断しています。
ガオー‼︎
大棟鬼板の鬼面。
拝殿と御本殿の彫り物は工匠も制作年代も全く違うと思われます。
緻密で精巧な彫り物と素朴で味のある彫り物。一社で2度美味しい神社でした。
刺青師・龍元
018(2022.02.04)
コメント
onijiiです。
福島に行かれたと聞き、衝動に駆られました。
未訪問だった北茨城市の力神と鬼面を見た後、
いわき市を回りました。(笑)
こちらでは鬼面と手長猿に大喜びしました。
七福神は全員揃わないこともあるのですね。
宝船に乗り遅れたのでしょうか?(笑)
福島県に行かれたのですか!
いわき市は今回3社だけなのですが、古い物と新しい物が混在している様な印象を受けました。私はあっち行ったりこっち行ったりなので良く分かりませんが、地域ごとに整理して並べて見ると、もっと特徴が掴めるかも知れませんね。
七福神はこちらが乗り遅れたクチですかね?それとも他の3人が置いてけぼりですか?
それにしても衝動で福島県まで行ってしまうなんて、相当重症ですね。お大事にしてくださいね♪