名匠の競演 嶋村圓哲・後藤直光・後藤常重 [東福寺] 埼玉県

東福寺繋虹梁 龍 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の技術である手彫りの継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和二年十一月、埼玉県草加市の東福寺に参拝しました。

東福寺

御縁起

真言宗智山派 東福寺
慶長十一年(1605)創建
文政七年(1824)本堂再建
文久二年(1862)鐘楼建立
元治二年(1865)山門建立
御本尊 阿弥陀如来像
本堂内外陣境欄間彫師 嶋村円哲
本堂向拝彫師 後藤直光
山門彫師 後藤常重

本堂

ここへは嶋村円哲の欄間があると聞いてやって来たのですが、向拝の龍も凄いです。それもそのはず、彫師は名門・後藤直光。何代目かは分かりません。後藤直光は元々仏師の流れでしたが、明治の廃仏毀釈の煽りを受けて神輿に転向、千葉で最近まで神輿を作っていた様ですね。

東福寺向拝

この時には気付きませんでしたが、よく見るとこの龍、爪が5本あります。普通、龍の爪は3本ですが、中国では龍の爪は5本で、昔は皇帝のみが五爪龍の紋章を身に付ける事ができたそうです。

向拝の龍

繋虹梁つなぎこうりょう上にも龍がいました。こちらは巻き毛の龍。私の好みです。

繋虹梁上の龍

さて、本命の嶋村円哲は本堂内外陣境の欄間です。嶋村円哲というのは、嶋村俊元の長男です。エンテツのテツの字が鉄になっている事もあります。

もちろん、中へは入れないのでガラス越しです。

本堂内部

向かって左側の欄間は二十四孝の董永。左下に「彫工嶋村」の銘があります。

二十四孝 董永

中央は龍。んんん〜、それ程カッコよくない。ちょっと期待し過ぎたか。

龍

向かって右側の欄間は二十四孝の大舜。

二十四孝 大舜

本堂内欄間なので保存状態は極上ですが、あの照り具合はイマイチですね。やっぱり少し寂れていた方が。。。保存には屋内が良いと言ったり、イマイチと言ったり、スミマセン (^^;;

鐘楼

文久二年(1862)建立の鐘楼にも見事な龍がありました。こちらは残念ながら彫師不詳。

東福寺鐘楼

4面全てに子引き龍がありました。

龍
龍
龍

どの龍も素晴らしく、本堂に劣らない名工の作と思われます。

龍

山門

元治二年(1865)建立の山門にも見事な彫り物がありました。彫師は後藤常重。後藤流の人でしょうか。

東福寺山門

梁の上の表と裏にある彫り物は、真言宗のお寺なので開祖の空海についての伝説の様です。空海というのは弘法大師の事ですね。

空海と童子。

童子と空海

童子と龍。

童子と龍

文殊菩薩。

文殊菩薩

弘法大師は伝説が多く、ググるとまさにぴったりな話を見つけました。画題は「流水点字るすいてんじ

童子に言われるままに空海が流水に詩を書くと、文字は崩れずに流れ去った。今度は童子が点の欠けた龍という文字を書き、最後に点を付け足すと本物の龍になって飛び去った。この童子は実は文殊菩薩であった。という話。

弘法大師流水に龍の文字を書く

こちら↓は裏側。画題は「投擲三鈷とうてきさんこ

三鈷の松

空海帰国の日、明州の港で『密教を伝えるのにふさわしい場所へ』と祈願して、三鈷杵さんこしょを空へ投げると紫色の雲に乗って日本の方角へ飛んでった、という話。

東福寺山門

三鈷杵を投げた空海。

三鈷杵を投げる空海

雲に乗って飛んで行く三鈷杵。波の表現が秀逸です。

三鈷杵

真言宗総本山の高野山には、その三鈷杵が引っ掛かっていたとされる松の木「三鈷の松」があるそうです。


円哲も悪くなかったですが、後藤直光や後藤常重、作者不詳の鐘楼の龍も素晴らしかったです。

ただ、お寺さんの彫り物は極端に横に長いので、ブログ向きじゃないんだよなぁ。スマホで見ると小っちゃくなっちゃうし。

刺青師・龍元

266(2020.11.23)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    5本指の龍は珍しいですね!
    欄間の照りは、何か不自然な気が・・・。
    劣化している方が歴史を感じますね!!
    空を見上げる表現も素晴らしいですね!!!

    • 龍元 より:

      うろ覚えですが、確か浅草寺の天井絵の龍も五本だった様な気がしますね。

      お寺の欄間は照りがある事が多いですね。もしかしたら磨いてるのかなって思ったりもしますし、風雨に晒されていないので、木の油分が滲み出て自然にああなるのか。。。

      このお寺は名工の作品がたくさんあって贅沢な気分になりました。

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