力神さまが力みっぱなし [熊野神社] 茨城県

力神 阿形 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和三年新年巡礼二十二社目、茨城県龍ヶ崎市の熊野神社に参拝しました。

熊野神社鳥居

御祭神 事解之男命ことさかのをのみこと 速玉之男命はやたまのおのみこと 伊邪那美命いざなみのみこと

熊野神社御本殿覆屋

一説によると現社殿は寛永四年(1627)造営という事で、約四百年前。日光東照宮は1617年創建、1636年に改築されて今の姿になったという事ですから、ほぼ同じ時代の建物ですね。

熊野神社御本殿

かなり傷んでます。

熊野神社御本殿

脇障子は両側とも欠損しています。

熊野神社御本殿
熊野神社御本殿

正面の小壁は龍。スライスされてしまってます。古い神社で稀に見掛けますが、これは板を貼り合わせて厚みを出していたって事でしょうか?それともただ単に木目に沿って割れたって事?

正面小壁 龍

水引虹梁上。稲妻があるので雷神でしょうか。だとしたらチョット珍しいと思います。これもスライスされてしまってます。

熊野神社御本殿向拝

扉は唐獅子牡丹。小さいですが綺麗な形の獅子です。これもスライス。

唐獅子牡丹

ここの前に参拝した香取八幡神社と同じく、扉が身舎の内側に引っ込んでいます。

熊野神社御本殿

右面胴羽目。これもスライスされてしまっているので分かりませんが、尾の形から言って孔雀ではないかと思います。

孔雀

背面胴羽目は沙耶柄 紗綾形の地紋彫りに桐紋。

桐紋

左面胴羽目は鳳凰でしょうか。これもスライス。背後の植物は、花は梅の様ですが、葉っぱは何でしょう?太めの紅葉の様な。。。普通は鳳凰には桐なんですが、唐獅子と牡丹の組み合わせほど厳密ではない様に思います。

鳳凰

この神社の見所は二重虹梁の力神さまです。何とも言えない良い顔をしています。右肘が損傷。これはスライスというより、木目に沿って割れたという感じです。

力神 阿形

吽形の力神さま。こちらも何とも言えない顔です。

力神 吽形

参拝した時には年配の方数人で周りの竹林の伐採中でした。「氏子の方ですか」と声を掛けると「いいえ」という返事。ここら辺では竹林の荒廃が問題になっている様ですから、近所のNPOの方かも知れません。

「彫刻が凄いですね」と続けると「???」という感じでした。

刺青師・龍元

022(2021.02.10)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    400年も経っているのですか!
    スライスはたまに見かけますね。
    多分木目で割れたのだと思います。
    顔が欠損した力神が何ヶ所かあります。
    残念・・・。諸行無常・・・。

    こちらの力神はとても個性的ですね。
    勝手に出目金と名付けてます。(笑)

    • 400年前というのは、伝聞なので「一説によると」にしたのですが。。。あまりはっきりした資料は見つかりませんでした。

      彫刻が盛んになるのは江戸中期から後期にかけてなので、400年前の神社にしては彫り物があり過ぎる様な気もします。なのでもっと新しいかも知れません。

      出目金はうまいですね。さすが力神探求家ですね。

      ここの力神は今までの中で三本指に入ります。もちろん一番は栃木県小山市の大川島神社です。

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