令和四年五月中旬 千葉県東金市の不老山布田薬王寺に参詣しました
創建年代不詳
延享年間(1744-48)火災により焼失 後に現本堂造営
寛政十二年(1800)内外陣境欄間製作
明治二十九年(1896)向拝周りの彫刻製作
明治三十五年(1902)外周軒下欄間彫刻製作
内外陣境欄間彫師 長坂猪乃助藤原友雅
向拝周り彫師 中村交文
外周軒下欄間彫師 平埜惣吉
御本尊 薬師如来
向拝
彫師は中村交文だそうです 明治二十九年(1896)製作
兎ノ毛通しの応龍
兎ノ毛通しにある応龍や鳳凰などの翼モノは 左右の翼の付け根がズレている事が多いです
唐破風下は唐獅子牡丹
三つある内の中央の中備は 龍です
精緻な彫りです
左の中備は虎です 風がビュービュー吹いてます
右には鷹がありましたが 写真は撮り忘れました
他にも手挟み・木鼻・持ち送りなどに精巧な彫り物がありました
ここは特に欄間が凄くて 見逃しが無ければ 内陣外陣と外周軒下に計38枚あります
内外陣境欄間
5枚ある内外陣境の欄間の内の真ん中3枚は特筆物です 彫師は長坂猪乃助藤原友雅 寛政十二年(1800)製作
3枚の内の左 玉巵弾琴 またの名を太真王夫人と言います
玉巵が一弦琴を奏でると たちまち沢山の鳥が集まり聞き惚れる と云われます
琴の音に聞き惚れる龍 との組み合わせで描かれる事が多いです
中央は 嵐の海で荒れ狂う 迫力の龍
写真だとなかなか伝わりにくいですが ホントに大きくて迫力があります
ぜひ 直に観て貰いたいです
こんな物を彫り上げるなんて 長坂猪乃助藤原友雅 って凄いです 江戸本所の人だそうです
下から見上げるとこんな厚み 今にも飛び出して来そう
と 上を見上げてみたら 消え掛かっていますが 天井にも迫力の龍
龍の右側には 馬師皇
馬の医者でしたが その名声が天にまで届いて 龍が病気を診て貰いに来た と云います
玉巵と馬師皇 龍つながり
真ん中の龍は 玉巵の琴の音色に誘われ でも師皇に病気を診て貰いたいし それで荒れ狂っていたのですね
一番左の天女 木目がキツいです
一番右の天女 こちらも木目が凄いです
現代の彫刻師の話ですが 「彫師は預かった木を彫るだけだから 木を選べないし 失敗も許されない」なんて事を聞いた事があります この頃の彫師はどうだったのか
夢中になって 200枚位写真を撮ってしまって(デジカメって良いですね)どの彫刻も捨て難く 1回で載せ切れないので3回に分ける事にします
次回は外周軒下の欄間です
刺青師・龍元
077-01(2022.06.07)
コメント
onijiiです。
う-ん素晴らしい!
うっとりします!!
彫刻愛好家必見ですね!!!
続編楽しみです。
ボリューム満点、無料でこんなに凄い物が観られるなんて幸せです。彫刻はそれほど有名じゃない様ですが、人が詰め掛ける程有名になってしまうと拝観料を取らないと管理しきれなくなってしまうんでしょうね。う〜ん、複雑です。