一仙斎信秀の彫り物 [馬頭天満大自在天神] 山梨県

唐獅子 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和六年七月中旬 山梨県富士川町の馬頭天満大自在天神に参拝しました。

馬頭天満大自在天神

向拝です。

馬頭天満大自在天神向拝

中備は玉巵弾琴ぎょくしだんきん

玉巵弾琴

玉巵は 西王母の娘です。

玉巵弾琴

太真王夫人とも言います。

玉巵弾琴

玉巵の弾く一絃琴の音に 龍が聴き惚れます。

龍

沢山の鳥が飛来し 時に白龍に乗り四海を遊行するといいます。

龍

持ち送りの獅子です。

唐獅子

大分 傷んできてます。

唐獅子

中備の裏には銘がありました。

豆州那賀郡江奈産 甲陽城南里上村住人 仙○信秀謹作之

豆州那賀郡江奈産
甲陽城南里上村住人
仙○信秀謹作之  一仙斎信秀謹作之

仙と信の間の文字が読めません。旧字体でしょうか。何にしても知らない人です。

〜追記(2024.08.05)石田半兵衛の長男の小沢一仙信秀彫との事です。Onijiiさんよりご教示いただきました。そう思って見ると確かに仙の上に一の字があります。追記終わり〜

〜追記(2024.08.06)仙と信の間の字は「斎」の様です。小心さんにご教示いただきました。追記終わり〜

豆州那賀郡江奈産 甲陽城南里上村住人 仙○信秀謹作之

右側手挟み外側には亀。

手挟みの亀

左側手挟み外側には鶴の彫り物がありました。

手挟みの鶴

右側手挟み内側は宝尽くし。

宝尽くし

これは一体何でしょう?

?

〜追記(2024.08.02) これ↑は金嚢・巾着ではないか と錺さんにご教示頂きました。
追記終わり〜

軍配。

軍配

打ち出の小槌です。

打ち出の小槌

左側手挟み内側。

宝尽くし

巻物。

巻物

宝珠。

宝珠

珊瑚。

珊瑚

隠れ笠 かな?

隠れ笠?

宝鑰ほうやく

宝鑰

正面入母屋破風には大きな鬼面がありました。

入母屋破風の鬼面
入母屋破風の鬼面
入母屋破風の鬼面

ここの前に参拝した那賀天神社からは 車のナビでは一度山を降りて国道を回る様に指示されましたが それを無視して峠を越えてやって来ました。

車一台の幅でガードレールも無い様な道。 舗装されてはいましたが 前日の雨で落ち葉や土砂の溜まった ぬかるんだ道でした。坂道でスリップする度にヒヤッとしましたが このヒリヒリ感が堪らない道中でした。

刺青師・龍元

066(2024.08.01)

コメント

  1. より:

    手挟みに 宝尽くし は珍ですね
    & 両面で全く違う内容 亀の裏に宝尽くし 鶴の裏に宝尽くし
    これまた粋な演出ですね!!

    宝尽くしの不明品は
    左の上の方に紐のようなものがあるので
     金嚢(きんのう)・巾着 でどうでしょうか?

    • 本当ですね。これは金嚢で間違いないですね。ありがとうございます。

      若林純の本によると、多分拝殿内部に唐獅子牡丹の欄間がありますね。それから側面後ろの扉が開いていたので覗いて見ましたが、建物の後ろ半分は土間になっていて、御本殿はありませんでした。

  2. onijiiです より:

    onijiiです。
    こちらにも鬼面があるのですね。
    紹介ありがとうございます。

    文字は読めませんが、石田半兵衛の
    長男の小沢一仙信秀とのことです。

    • ここの鬼面は大きくて迫力がありますね。

      なるほど。そう思って写真を見ると確かに仙の上に一の字がありますね。ありがとうございます。

      小沢半兵衛と言えば、すぐ近くの高下諏訪神社の御本殿を彫った人らしいですね。次回にアップします。

  3. 小心 より:

    難字は「斎」で良さそうです。
    「斎」の字は30種類以上あるそうなので、私にはどの字かはわかりませんが。

    • 斎ですか。確かに一仙斎信秀でググると引っ掛かりますね。ありがとうございます。

      上手い達筆な銘と、ただ読めれば良いという感じの銘と色々ありますね。

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