狐について 日本伝統刺青協会 第10回

刺青図柄解説
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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去年の夏あたりから Traditional Japanese Tattoo Association 日本語で言えば「日本伝統刺青協会」というのを作って、アムステルダムの建尚・二代目さんと一緒に、日本文化と刺青についてインスタグラムなどのSNSで海外に発信しています。


皆さんはキツネと聞いて何を思い浮かべますか?

人を化かす、神の使い、中にはこの世を破壊しようと企む世界三大悪の一つ、九尾の狐を思い浮かべる人もいるかも知れません。

民話や昔話に出て来る、人を化かすキツネは一般的には罪の無い悪戯で人間をからかったりします。

神の使いの狐は倉稲魂命うかのみたまのみこと(古事記)・宇迦之御魂神うかのみたまのかみ(日本書紀)の使いとして稲荷神社などに狛犬として据えられています。

九尾の狐は神の使いとする解釈も無い訳ではありませんが、一般的には魔物とされています。

九尾の狐
九尾の狐 長野県御幸神社胴羽目

海外ではこれらがゴッチャになってしまって、九尾の狐がドクロを頭に乗せて、宝珠ほうじゅ宝鍵ほうやくを持っていたりします。これでは九尾の狐が神の使いとして、人を化かし世界を滅ぼそうとする事になってしまいますね。

なので、海外の人にも理解しやすい様に説明してみました。今回は拙い英文、翻訳ともに私、龍元です。

There are three types (or more) of kitsune in Japanese myths and legends. 
1. Kitsune: In old days people believed that kitsune (fox) and tanuki (Japanese raccoon) had a supernatural power and often tricked and confused people. They could turn into anything. When they do it they wear a leaf (in rare cases skull) on the head.
2. O-Inari-san: Foxes in Inari Shrines are messengers from one of Shinto gods, Ukanomitama. They are usually white and sometimes hold a key or scroll in their mouth. They can transform into anything but don’t trick people.
3. Kyubi no Kitsune (Nine tailed fox): Nine tailed fox was an evil monster. It had been trying to destroy the world by tempting and manipulating emperors. It could turn into a beauty and had turned into Dakki in ancient China, Mrs. Kayo in ancient India and Tamamonomae in Japan. It was slain by Kazusanosuke Hirotsune in the early 12th century. Text by Ryugendo

日本の神話や伝説に出てくる狐には三種類(もしくはそれ以上)あります。
1、キツネ   昔、キツネやタヌキは霊的な力を持っていて、人を化かしたり惑わせたりすると信じられていました。彼らは何にでも化ける事が出来、頭に木の葉(稀に頭蓋骨である事もあります)を乗せて変身します。
2、お稲荷さん 稲荷神社にいるキツネは神道の神・倉稲魂命うかのみたまのみことの使いです。白狐として表される事が多く、宝鍵ほうやくや巻物を咥えていたりします。何かに化ける事が出来ますが、人を化かす事はありません。
3、九尾の狐  九尾の狐は皇帝に取り憑いて世界を滅ぼそうと企む魔物です。絶世の美人に化ける事ができ、古代中国のいんでは妲己だっき、古代インドの天竺てんじくでは華陽かよう婦人、日本には12世紀にやって来て玉藻前たまものまえに化けて帝をたぶらかしました。最後には安倍泰親あべのやすちか上総介広常かずさのすけひろつねらに退治されます。

(正確な翻訳ではありません)

九尾の狐伝説

天竺で華陽婦人に化けて世を乱し悪行を重ねる九尾の狐

普明長者に切りつけられて正体を現す

いんでは絶世の美女・妲己だっきに取り憑いて王をたぶらかすが、太公望に鏡を突きつけられて正体を暴かれる。

日本へは平安時代にやって来て玉藻前たまものまえに化け、鳥羽とば上皇の寵愛を受ける。

安倍泰親あべのやすちかに正体を暴かれる玉藻前たまものまえ

九尾の狐にとどめを刺す上総介広常かずさのすけひろつね


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刺青師・龍元

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