令和五年二月下旬 群馬県前橋市の金刀比羅宮に参拝しました。産泰神社の境内社です。
文化七年(1810)建立
御祭神 大物主命
大工棟梁は大隅流伊藤生兵衛一門の矢崎久右衛門元形(1762-1827)。産泰神社拝殿や茅野市の三輪神社や酒室神社を建てた人です。
向拝の龍。
長押の上には 仙人の彫り物がありました。
正面の左端は鉄碗から龍を呼び出す陳楠仙人です。
干魃で困っていた人々のために 龍を呼び出して雨を降らせたと伝わります。
彩色はほとんど剥落してしまってます。
隣は鯉にまたがる琴高仙人。
龍子を捕えると言って水に入り 約束の日に鯉に乗って帰って来て弟子や人々を驚かせ 再び水中に戻って行った と伝わります。
金毘羅大権現の扁額。
扁額の右は盧敖仙人。元々は黄安仙人とは別人だったが習合して区別出来なくなったと言われます。
右端は瓢箪から駒を出す張果老。
正史にも名を連ねます。596年生まれの735年没。
139歳か。仙人としては早逝ですね。
仙人の張果老は驢馬を紙のように畳んで箱にしまい 乗る時は水をかけて戻したと伝わります。干し椎茸か切り干し大根みたい。
社殿右面。
「蝦蟇・鉄拐」の彫り物がありました。
手前は幽体離脱仙人の李鉄拐。鉄拐先生と呼ばれます。
魂を飛ばして知人に会いに行っている間に弟子に体を焼かれしまい 仕方なしに近くにあった物乞いの死体に乗り移る事になります(諸説あります)。
奥は蝦蟇仙人の劉海蟾。
「手に三足の蟾を持ち之を弄する形を描き 劉海戯蟾の図という。通常は蝦蟇仙人を以て最も多く知らる」『画題辞典』斎藤隆三
左面です。
鶴仙人 費長房。
巻き物を広げます。
鶴仙人は沢山いますが 費長房は 控鶴仙人や黄鶴仙人と同一人物という説もある様です。
木の葉に乗ったこちらのお方は初めましてでしょうか。
何処かでお目に掛かった様な気もしますが…
北斎漫画や列仙伝をひっくり返してみましたが 見つかりませんでした。ご存知の方がいらっしゃいましたらご教示下さい。
刺青師・龍元
036-03(2023.04.07)
コメント
葉に乗った仙人?は不明ですね、以前調べましたが辿り着けずマニアックな方のブログを見ても『不明』となっているので、かなり珍なお方なのかと思われます。葉が大きいのか?葉に乗るくらい小さいのか?小さいなら少彦名命?
歌川国芳『日本国開闢由来記』少彦名でググると葉に乗った少彦名命の画に辿り着きましたが、その画の少彦名は高貴なお方、こちらの彫刻は『仙人』ってな雰囲気なので、少彦名ではなさそうな?不明ですね。
錺さんおはようございます。
なるほど「葉が大きいのか?葉に乗るくらい小さいのか?」は良いポイントですね。大体において仙人はそこら辺が曖昧です。
国芳も色々描いてるんですね。勉強になります。ありがとうございます。