令和三年五月、埼玉県久喜市の久伊豆神社に参拝しました。
普通、久伊豆神社は「ひさいず」と読みますが、ここは「くいず」と読みます。文化財登録の際に地域の古老に確認した所、5人中4人が「くいず」と答えたそうです。
宝永六年(1709)現本殿建立
文化十年(1813)彩色と補修が施される
平成三年(1991)埼玉県指定有形文化財(建造物)指定
御本殿正面。
案内板によると一木から彫り出されたという向拝柱の龍。几帳面取りされた手の込んだ仕上げの向拝柱も特徴の一つだそうです。近くで見られないのが残念。
左側脇障子は高砂の尉。
右脇障子には高砂の姥。案内板には「箒をかつぎ、左褄をとった類例のない奇抜な構図」とありました。確かに管見の限り、他では見た事がありません。
左褄とは芸者の事。
歩くのに邪魔になる着物の裾を持ち上げる時に、右手で持ち上げると殿方の手が入りやすくなるので、これは遊女の作法。反対に芸者は「芸は売っても身は売らぬ」という意味で左手で褄をとるのだそうです。
私は芸者遊びをした事はありませんが、姐さん(師匠の奥さん)が置き屋の娘だったので花街の事は少し聞いた事があります。
因みに和装の花嫁が右褄をとるのは子孫繁栄の意味だそうです。そんなエッチな仕草を結婚式でしてたなんて思いもよりませんでしたね。
三百年も前の彫り物ですから、その頃からそんな意味があったのかは分かりませんが、案内板を書いた人は何かを感じたのでしょう。
裏へ廻ります。
御本殿胴羽目には松に尾長鶏、その上に唐子と布袋尊の彫り物がありました。
正面扉には天女の彫り物。
妻飾りには力神さまがいました。こちらは吽形。
案内板によると背面には竹に虎の彫り物がある様ですが、窓が無かったので残念ながら見る事は出来ませんでした。
御本殿左面。
胴羽目は唐獅子牡丹です。その上には軍配を持った太めの人がいますが、現場では気が付かなかったので見切れてしまいました。
向拝周り側面。
妻飾りには阿形の力神さま。
三百年以上前の御本殿ですが、大事にされて来た様子で保存状態も良好です。
素晴らしい御本殿でした。
刺青師・龍元
071(2021.05.29)
コメント
きれいに撮れていますね!!凄いですねぇ~、私は外観だけ撮影し、残念な気持ちで帰ったと記憶しています。 でも、こういう見られなかった、撮影できなかった と言う経験から、脚立を持っていくようになりましたが、それ以後は進歩がありません・・・、最近は彫刻巡りにも行けていないので、見える見えない以前の問題です・・・。
ここを訪れた時は小雨だったんですが、案外人通りがあって脚立は躊躇してしまいました。
直には覗けませんでしたが、背伸びしてなんとか写真は撮れました♪
私も最近は忙しくて、彫刻巡りは月1位のペースです。って去年が異常に暇だっただけで、これが標準かもしれません。
onijiiです。
力神ありがとうございます!
「くいず」は面白いですね!!
向拝柱の龍の巻き付きが凄いですね!!!
左褄の意味を初めて知りました。
女性らしさが出る動作ですね。
力神目当てで訪問しましたが、住民の方が
ずっといて、確認できずに引き上げました。
ただ覗くだけなのですが、何か悪いこと
するような気がしたのです。
不審者がいると通報されると困るし・・・。
今は訪問理由を伝えて、覗けると思います。(笑)
ですよね〜。
私も脚立を躊躇してしまいました。
向拝柱は近くで見てみたいですね。
遠くから見ると張り合わせの安物みたいに見えてしまいます。
案内板を確認して良かったです。