三国志と太公望 彫工棟梁小林正信 [全透院地蔵堂 其の二] 群馬県

亀 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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 [全透院地蔵堂 其の一] からの続きです

正面も凄かったんですが側面もすごい! 胴羽目や欄間 斗栱間や支輪や縁下に至るまで彫り物で埋め尽くされています 仏教寺院の堂宇でこれだけの質と量の彫り物は本当に珍しいです

全透院地蔵堂

窓には子引き龍

窓の龍

胴羽目は三国志演義の名場面「長坂ちょうはんの闘い」から趙雲救幼主ちょううんきゅうようしゅ  曹操そうそう軍との乱戦の中で見失っていた 劉備の妻・糜夫人びふじんに嫡子・阿斗を託されます(あろう事かピンボケ また近くに行った時に撮り直してきます)

趙雲救幼主

「何の面目あってこのまま主君にまみえん?生命いのちのある限りは。。。」

趙雲

「若君のお身をつつがなく主君へお渡し奉るこそ大事中の大事」(吉川英治 三国志第五巻)

幼主阿斗

武州熊ヶ谷住 彫工棟梁 小林正信 と銘が彫ってありました 

背面です

全透院地蔵堂

「つかぬ事を伺いますが…そんな真っ直ぐな針で一体何が釣れるのか…と」

太公望

「…あちらの方が尋ねておられます」

周の文王

「わしが釣り上げようとしているのは魚ではない…そう! 天下ですのじゃ!」

呂尚

「太公望と周文王の邂逅」

周文王
太公望

胴羽目は三枚あり これ↓も「太公望と周文王の邂逅」の説話の一部だと思うのですが 具体的な話は分かりません

?

君たちは何者かな?

?

左面に廻ります

全透院地蔵堂

胴羽目は三国志演義の名場面から 「劉備玄徳 的盧てきろに乗って檀渓だんけいを跳ぶ」

劉備玄徳的露に乗り檀渓と跳ぶ

乗る者に祟ると云われる的盧「汝 今日われに祟りをなすか またわれを救うや」(吉川英治 三国志第四巻)

劉備玄徳と的露

こちらも窓には子引き龍

窓の龍
龍
全透院地蔵堂

胴羽目の下には亀の彫り物

亀

右側の亀は天地逆さまに取り付けられています こういうの結構見掛けます

亀

欄間には獅子が彫られていました

唐獅子

斗栱間には鳥

唐獅子

縁下には応龍の彫り物がありました

応龍
応龍

本当にすごいぞ!地蔵堂 m(_ _)m

刺青師・龍元

136-02(2022.11.20)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    小林源太郎の父、小林源八正信ですね。
    大作ですねえ。素晴らしいですねえ。
    こちらは行くしかないですね。(笑)

    • 錺さんに頂いた群馬県近世寺社調査報告書には「彫刻師は小林源太郎を輩出した熊谷の住人 小林鱗藏正信」となってました。父の事なのでしょうか?

      こちらは御本堂にも素晴らしい欄間が沢山あるので、人が居れば是非見せて貰って下さい。

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