胴羽目は中国故事と日本神話から [佐太彦神社] 埼玉県

佐田彦神社御本殿縁下の龍 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和三年八月、埼玉県寄居町の佐太彦神社さだひこじんじゃに参拝しました。

佐田彦神社鳥居

拝殿はあっさりしています。

佐田彦神社拝殿

裏へ回ります。御本殿は石垣の上に、大きめの庇つき透塀で囲われていました。

佐田彦神社御本殿

正面破風の懸魚は応龍。

応龍

その下の向拝懸魚には鳳凰。

鳳凰

御本殿身舎は見事な彫り物で飾られていました。

佐田彦神社御本殿

扉には金嚢きんのう・宝珠・打出の小槌・七宝・丁子ちょうじ。脇板には登り龍です。

佐田彦神社御本殿正面扉

御本殿右面胴羽目は黄石公と張良。石垣の上に鎮座しているので、私の目線だとこうなります。

佐田彦神社御本殿

黄石公。ちょっと顔が歪んでいますが、これが浮き彫りの良い所でもあります。見る角度で表情が変わって面白い。

黄石公

下から見ると張良は貫禄があります。

張良

正面から見るとこんな感じ。張良も案外若く見えます。

黄石公と張良

脇障子の前には障害物がありました。

佐田彦神社御本殿胴羽目

梅妻鶴子の林和靖。

林和靖

林逋りんぽとも言います。

林和靖

背面に回ります。

佐田彦神社御本殿

「おのれ、小童こわっぱめ!斬り殺してくれる!」と邪悪な天狗

猿田彦命

「受けて立とうぞ!」と少年剣士、、、ではなく、

天鈿女命

猿田彦命さるたひこのみこと天鈿女命あめのうずめのみこと

猿田彦命と天鈿女命
佐田彦神社御本殿

左面です。

佐田彦神社御本殿

「そんな真っ直ぐな針で何か釣れますかな?」

周の文王

「お〜ほっほっほ、私が釣ろうとしている物は魚ではありませんのじゃ。私が釣ろうとしているモノ、そう!それは天下ですのじゃ、お〜ほっほっほっ!」

呂尚(太公望)

呂尚(太公望)と周の文王の邂逅かいこう

呂尚と文王の邂逅

こちらにも障害物が。。。

佐田彦神社御本殿

脇障子は老人が滝を見ているので、李白観瀑だと思います。

李白観瀑

正面扉は右側の反転。脇障子は降り龍です。

佐田彦神社御本殿正面扉

縁下四隅には龍の持ち送り。腰羽目は無しでした。

佐田彦神社御本殿

透塀には大きい庇が付いていて御本殿に近いので、風雨をよく凌げるためでしょうか、比較的鑑賞しやすい割には保存状態の良い御本殿でした。

佐田彦神社御本殿

脚立か如意棒があると良いと思います。

刺青師・龍元

111(2021.09.16)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    顔の表情は角度によって全く変わりますね!
    喜怒哀楽を表現する当時の彫り師の技量は
    凄いですね!!
    セリフが冴え渡ってます!!!(笑)

    扉の彫物の名称は知りませんでした。
    金嚢(きんのう)→財布なんですね。(笑)

    • 角度によって表情が変わるのは能面に通じるものがありますね。
      埼玉県北西部は人物の表情が豊かな彫り物が多いですね。

      良い彫り物はじっと眺めていると勝手に喋り出します。

      実は私は、金嚢という名前は知ってましたが、最近まで宝袋の事だと思ってました。
      お財布なんですね。
      嚢は袋ですから金◯袋を想像しちゃいますね。

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