力神さまが踏ん張っている [大宮神社と稲荷神社] 栃木県

稲荷神社 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和五年六月上旬 栃木県栃木市の大宮神社に参拝しました。

大宮神社鳥居

創建年不詳
御祭神 大己貴命おおなむちのみこと

大宮神社

残念ながら御本殿に胴羽目はありません。

大宮神社御本殿

脇障子。現場では左右で寒山拾得かんざんじっとくと思い込んでましたが よく見ると熊手を持っているので これは高砂の尉。

高砂の尉

こちらは高砂の媼。

高砂の媼

大虹梁の上では力神さまが踏ん張っていました。

力神

悪魔顔の力神さまです。

力神

ここのお目当ては境内社のお稲荷さん。

稲荷神社

覆屋の中には見事な御本殿が鎮座していました。

稲荷神社御本殿

兎ノ毛通しは鳳凰です。

鳳凰

唐破風下には宝珠と金嚢。向拝に中備はありません。

宝珠と金嚢

元々は彩色が施されていた様です。

稲荷神社御本殿

木鼻は象と獅子。

象鼻

かなり傷んでしまってますね。

稲荷神社御本殿

胴羽目。龍と対峙する人物は烏帽子を被っているので須佐之男命ではないのでしょう。

張良

ここの前に参拝した大杉神社↓では龍と対峙する人物を 闘っている雰囲気ではないので馬師皇ばしこうではないか?としました。

馬師皇?

比べるとこちら↓は闘っている雰囲気があります。 左面の胴羽目と関連がありそうだったので 後で考察する事にします。

張良

腰羽目は水鳥です。

水鳥

太瓶束は大棟を頭で支える力神さま。ん〜我慢ガマン。。。

力神

懸魚は宝珠と金嚢と瑞雲です。

宝珠と金嚢

背面に廻ります。

稲荷神社御本殿

片肌脱いだオッサンが口から何かを飛ばしています。

李鉄拐

これは幽体離脱の術を使う 李鉄拐りてっかいでしょう。鉄拐先生とも言います。

李鉄拐

腰羽目は家鴨あひるか鴨のような水鳥と杜若かきつばた

稲荷神社御本殿

脇障子は両側とも欠損です。

稲荷神社御本殿

木鼻の獅子。

獅子鼻

左面です。腰羽目は何だったのか分からない程破損していました。

稲荷神社御本殿

胴羽目は馬に乗った老人。馬と言っても蹄の割れた偶蹄です。これは通常の人間と馬ではなく 仙人と馬という事を暗示しているのかも知れません。

黄石公

だとしたら 兵法書を持っていないのが気にはなりますが もしかしたら これは黄石公こうせきこうでしょうか。

黄石公

それなら 右面胴羽目は張良という事になりそうです。寺社彫刻では通常は龍の背に乗った姿で描かれますが お話では張良が沓を拾う時に観音の化身である大蛇(龍)に邪魔される事になっているので その場面かも知れません。

右面では欠損していましたが 左面の大虹梁の上には麒麟がありました。

麒麟

その上には力神さまがいました。 お。。。重い。。。ん〜まだまだ!

力神

鼻先にはスズメバチの巣の残骸と思われる物が。。。この位置に頻繁に見ますが 幸いにして活動中の物は未だ遭遇した事がありません。アシナガバチはあります。

確かに 懸魚に守られて 巣を作るには絶好の位置でしょう。

宝珠と金嚢

素晴らしい御本殿でした。

稲荷神社御本殿

刺青師・龍元

071(2023.06.27)

コメント

  1. onijiiです より:

    onijiiです。
    こちらでは境内社にも力神がいて、
    大喜びしました。
    両方とも好みの面構えで、大満足
    でした。
    胴羽目もいい顔してますねえ。

    • Onijiiさん こんにちは
      本社境内社とも良い面構えの力神ですね。
      特に境内社の方は、間近で観察できるのが良いですね。
      だいぶ傷んできてるので、早めに処置をしてもらえると良いですね。

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