刺青図柄の意味 オオナムチノミコト「大鷲退治」

神話
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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オオナムチノミコト(大己貴命・大穴牟遅命)

古事記・日本書紀・風土記などの日本神話に登場する神。古事記においてはスサノオノミコトの六世、日本書紀においては七世の孫。

多くの名前を持つ神様

七福神の大黒様と言えば馴染み深いでしょうか。

大国主神(オオクニヌシノカミ)大国主命(オオクニヌシノミコト)の他、大穴牟遅神(オオアナムヂノカミ)大黒天(ダイコクテン)大穴持命(オオアナモチノミコト)大汝命(オオナムチノミコト)大名持命(オオナモチノミコト)国作大己貴命(クニツクリオオナムチノミコト)八千矛神(ヤチホコノカミ)葦原色許男・葦原醜男・葦原志許乎/葦原志挙乎命(アシハラノシコオ)三諸神(ミモロノカミ)八戸挂須御諸命(ヤトカケスミモロノミコト)大物主葦原志許(オオモロノヌシアシハラノシコヲ)宇都志国玉神(ウツシクニタマノカミ)大国魂神(オオクニタマノカミ)伊和大神(イワノオオカミ)国堅大神(クニカタメマシシオオカミ)占国之神(クニシメマシシカミ)所造天下大神(アメノシタツクラシシオオカミ)など、数多くの別名があります。

大国がダイコクと読める事から、七福神の大黒様と習合した(平たく言えば、ごっちゃになった)という説があります。

良い神様です

因幡の白兎(稻羽之素兎・稲羽の素兎)では大国主神(オオクニヌシノミコト)として出てくる良い神様です。

神様に良し悪しがあるというのも日本神話の凄い所だと思いますが、この神様は10人以上の后を持ち、180柱以上の子供がいたとされています。羨ましいを通り越して唖然としますな。

スサノオノミコト の直系であると同時に、スサノオノミコト の娘である須勢理毘売命(スセリビメノミコト)を妻にして、葦原中国(アシハラノナカツクニ)の支配圏を スサノオ より譲り受け、以降、天津神への国譲りまで「地上の国を治める偉大な主」として君臨します。

自分の大大大大叔母さんと結婚って。。。まあ、現在の日本の法律でも四親等以降は結婚できますから七親等の大大大大叔母さんは全く問題ありませんね。(いとこや大叔母以上に離れていれば結婚可能、直系はいくら離れても不可)

記紀神話の中では理不尽な迫害を受けて何度も命を落としますが、その度に救いの手が差し伸べられて生き返ります。まるでゾンビです。

迫害するのは、兄である八十神たち。迫害といえば思想的なものを連想して高尚な感じがしますが、要するに大己貴命が優秀で優しくモテたので、兄達が妬んで大己貴命をいじめ殺した訳です。神様なのに性悪だな!因幡の白兎を苦しめたのもこの八十神達。

信仰

大己貴命を祀る神社が全国各地にあり、多くの社伝で「民を苦しめていた大鷲をオオナムチノミコトが退治する」という話が伝わっています。また、江戸から明治にかけて彫られた大己貴命の精緻な彫刻も数多く神社に残されています。

大己貴命の大鷲退治
大己貴命の大鷲退治 埼玉県越生町大宮神社
大己貴命の大鷲退治
大己貴命の大鷲退治 神奈川県川崎市登戸稲荷社

刺青芸術工房 龍元洞
刺青師・龍元

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