あけましておめでとうございます。
令和六年も新年寺社彫刻巡礼の旅に出かけてきました。例年は茨城県を廻っていますが 期間限定のホットなタレコミがあったので 今年は千葉県北部を 空振りを含めて合計三十社廻りました。
初日一社目は千葉県市原市の富貴稲荷神社に参拝しました。
拝殿はなく 門のところから拝む様になっています。
門の梁の上には虎が二匹。
躍動感あふれる虎です。
享保十三年(1728)勧請
左側脇障子には鳥が彫られています。牡丹が合わせてあるのと 右側の脇障子との兼ね合いから推して 雌の孔雀かと思います。
三間社なので 向拝中備も三つ。
左から 錦鶏
龍
松鶴 の順に並びます。
右側脇障子は雄の孔雀。悲しい事に首がもげてしまっている様です。
正面扉には 稲荷らしく 宝珠と宝鑰が彫られていました。
胴羽目を雨から守るため ぐるりと庇が架けてあります。
胴羽目は縦長のものが二枚。少しズレてしまってます。
左側は三条小鍛冶宗近です。
「勅命で御剣を打つ事になった宗近は 刀の鍛錬に必要な自分と同等の相方を見つけられず 進退極まって稲荷明神に祈願した
礼拝をしていると 稲荷明神から狐の精霊がやって来て相槌を務めると言う
こうして完成した御剣『小狐丸』が朝廷に献上された」
右側は 邪馬台詩を読み解く吉備真備。
吉備真備は奈良時代の公卿で学者です。
「真備は遣唐使の留学生となり 唐の玄宗に謁見した時に 邪馬台詩の解読を命じられるが 詩は文がバラバラに書かれていて まともに読めなかった
真備が困り果てて日本の神仏に祈ると 蜘蛛が落ちてきて 蜘蛛の這った後を追うと 無事読むことができたという」
邪馬台詩というのはノストラダムスみたいな 一種の予言詩で 昔からムー的な人たちの間ではチョット知られた詩です。
寺社彫刻でこの図柄を見るのは 初めてだと思いますが 年初めから初めましての絵柄でゲンが良いです。
背面に廻ります。
三間社なので胴羽目も三枚。
波と松の木。
中央は 松鷹。
右も松鷹。
左面。
こちらは二枚で一組。
鞍馬山僧正坊から兵法書を授かる牛若丸です。
ここは私が廻る神社の中では かなり大きめの社殿なので 大きさに比べて彫りが浅めに見えてしまいます。
が 実際には かなり彫り込んであります。
鞍馬山僧正坊。いわゆる鞍馬天狗です。
天狗と言っても 鼻の造形は普通です。
どの彫り物も 写実的で正確なデッサンと 緻密な彫りで仕上げられていて 一流の工匠の作品と思われます。
刺青師・龍元
001(2024.01.06)
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