18世紀中頃の彫り物 [珊瑚寺 地蔵堂] 群馬県

珊瑚寺地蔵堂 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和四年七月下旬 群馬県前橋市の珊瑚寺に参詣しました

石井山三光院珊瑚寺
大同二年(807)勝道上人により開創
主本尊 阿弥陀如来

参道は二つあり 一つは山門をくぐって御本堂

珊瑚寺山門

早速 山門の頭貫に立派な彫り物がありました

龍虎

写実的な虎 新しめの彫り物ですね

虎

龍と虎で龍虎

龍

もう一つの参道を進むと右側に墓地・水屋・蓮華堂・千仏堂 があります

千仏堂の中を覗くと 閻魔様が。。。

今 大きい閻魔様の刺青をやっているので注目しています

閻魔大王

千仏堂の先には中門があり 龍が彫られた香炉みたいな鉢がありました

鉢

新しい物ですが こういうのも好きです

龍

これも獅噛みと呼んで良いのでしょうか

獅噛足

さて 中門をくぐるとその先に いよいよお目当ての地蔵堂です

珊瑚寺地蔵堂

宝暦四年(1754)現堂宇普請
平成三十一年(2019)大改修 銅板に葺き替え

向拝中備は黄石公と張良

張良が何度も黄石公のくつを拾って何度も出直して やっとの事で兵法書を授かる話です 

黄石公と張良

ちょっと造形が日本っぽくない感じがしますね

黄石公

この張良は鯉口を切っています

「鯉口を切る」とは 刀の鍔に左手の親指を掛けて すぐに抜けるように刀を鞘から少し引き出しておく事 つまり「お前を斬るぞ」という意味ですね

「もう良い加減にしてくつを受け取れ さもないと…お前を斬る!」

張良

2017年に訪れた人のブログを見ると 彩色が完全に寂れているので

平成三十一年の大改修の時にお色直しをしたのだと思います

珊瑚寺地蔵堂

嬉しい事に 回廊までそのまま上がれる様になっているので(ですよね?) 彫り物を間近に鑑賞する事が出来ます

布袋尊と唐子

唐子遊び 布袋を引く

布袋尊と唐子

う〜ん はみ出しちゃっているし あまり上手い塗りとは言えない気がします

布袋尊

その隣は

帝の枕を越えたため流刑に処された菊慈童

流刑先で 菊の葉に滴る露を飲んで不老不死になりました

菊慈童

この艶かしさは 何だ?

菊慈童

決して上手い彩色ではありませんが この艶かしさを見れば 帝の寵愛も頷けます

菊慈童

裏には小さな小屋が増設されていました

珊瑚寺地蔵堂

左面左側の胴羽目

川が流れているので 山をつん裂き黄河の流れを変えたと言われる巨霊人きょれいじんとしておきます

巨霊人 もしくは 董奉

お金を取らず杏の木を植える事で病人を診たという董奉とうほうの可能性もあります

巨霊人 もしくは 董奉

「ハイ ツボをかぶります! さあ 張った張った!」

弁財天

「半方ナイカ 無いか? ナイカ半方!」

「駒ソロイマシタ 勝負!」

吉祥天

最近お馴染みの弁財天と吉祥天の双六ですが ここも盤面に双六のマス目がありません

双六をする弁財天と吉祥天

これでは 大工の道具箱か千両箱に見えてしまいますね

双六をする弁財天と吉祥天

下手ウマと言って良いのか妙な味があるし

色自体は綺麗で良い出来だと思います

珊瑚寺地蔵堂

刺青師・龍元

112(2022.09.03)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    彫刻と閻魔大王、獅子足香炉
    チェックしてました。
    獅子がいい顔してますねえ。
    紹介ありがとうございます。

    何故か現代風彩色にゾクッと
    きました。(笑)

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