栃木県栃木市の藤岡稲荷神社を訪ねました。
由緒
創建はわかりませんでした。御祭神は稲荷なので多分、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)でしょう。東向きの神社です。
社殿
なんと境内は駐車場になっています。このご時世仕方ないのかもしれませんね (T ^ T) お金が無いからと放ったらかしにするよりも、こうやって知恵を絞って未来へ繋いでいく努力をする方がよっぽど良いです。
扁額には正一位 稲荷大明神と書いてあります。
すぐ傍まで駐車場の車線が引いてあって、本殿は鉄の柵で囲んでありました。
本殿
小ぶりながらも精巧に作られた本殿。
縣魚には菊の華、唐破風下には亀。
本殿南面
海老虹梁は 龍、手挟みも菊の華です。
うちでは龍には菊か桜か紅葉を合わせますが「龍に合わせる華は本来は菊のみ、どこの寺社の彫り物を見ても龍には菊だろ、桜と紅葉は後世の刺青彫師が少しづつ広げていったんだ」と聞いた事があります。
妻飾りには 唐獅子牡丹、梁には蛟が彫られています。
胴羽目。滝で水を汲む人物。養老の瀧ですかね。孝行息子が山で崖から落っこちて、気が付いたら目の前にお酒の滝があったって話。本当にこんな滝があったら駄目人間になってしまうよ。
本殿背面
西面の胴羽目は高砂の尉と姥。脇障子には狐。
本殿北面
北面妻飾り。南面と同じく唐獅子牡丹と梁には蛟。
胴羽目は蓑笠姿の親子、う〜ん、帯刀しているので侍ですかね。江戸初期までは町人でも旅をかける時には護身用に帯刀が許されていたそうなので、ひょっとしたら武士ではないかも。子供の方が後ろを指差していますから、何か特定の物語の一場面なのだろうと思います。
海老虹梁には昇り 龍。南面も登りでしたが。。。昇り下りで合わせるのが普通だと思うのですが、こういうのもアリなんですかね。今までは気にもしませんでした。刺青の場合、両肩に昇り 龍 を入れる「向かい龍」というのがありますが、見合っている、つまり目線を合わせていなければなりません。
狐も見るからに新しいし、足元の石台もちゃんと修繕されているところを見ると大事にされているのでしょう。
案内板はもうほとんど読めない状態になっていました。これが読めればもうちょっと由緒も分かったんでしょうけどネ。
覆屋の内側には
「稲荷神社境内舗装工事竣工記念
一、舗装費 二百七十万円
一、線引き 十五万六千円
総工費計 二百八十五万六千円
昭和五十六年十一月吉日竣工」
とあります。
やっぱりこうやって残しておくって事は、境内を駐車場にするのは一大決心だったのでしょう。
これが舗装代として高いのか安いのかは見当もつきませんが、駐車場代として幾らかでも月々入って来るものを考えれば、数十年に一度くらいはそれなりの事が出来るのかもな〜。
刺青師・龍元
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