令和七年三月中旬 大分県大分市の柞原八幡宮に参拝しました。
柞原八幡宮 其の一 の続きです。
彫刻が沢山あるので 少し変則的ですが番号を振ってあります。番号は44までですが 7・10・11・14は上下2点の彫刻があるので 計48点の大きな彫刻がある事になります。

今回は1から10まで紹介します。
前方左側内壁

1. 二十四孝 江革
トップバッターは二十四孝の江革です。

幼くして父を失い 老いた母と二人暮らしの江革は 母が揺り動かされるのを嫌ったので 牛馬を用いずに自ら車の長柄を引いて母を運んだ という話。

母上 ご満悦。

「母ちゃん。。。怖いよ。。。」

2. 二十四孝 王裒
その隣りは二十四孝の王裒。

母は雷を怖がる人であったが その死後も雷が鳴ると 王裒は母の墓に急いで駆けつけた という話。

愛らしい雷さまです。

前方右側内壁

3. 二十四孝 郭巨
こちらは二十四孝の郭巨ですね。

極貧に喘ぐ郭巨が母を養う為に口減らしをしようと 我が子を埋める為の穴を掘ると 金の(詰まった)釜が出て来た。

その孝行心に感じた天が郭巨に与えた物である という話。

奥さん さも泣いている様な仕草ですが 金塊を目の当たりにして喜びのあまり 口角が上がってしまっている様な?

4. 二十四孝 唐夫人
出ました 唐夫人です。

唐夫人は 歯が全て抜けて食事を摂ることができなくなった姑に 自分の乳を与えた という孝行話ですが 大抵の人はそんな事は知りません。
唐夫人のオッパイ滅多刺し。おバカな小学生・中学生(ひょっとしたら大人)の男子が過剰反応している姿が目に浮かびます。

ん? お髭。。。生えてます?

扉の左側

5. 楠正成正行親子 櫻井駅の別れ
戦死を覚悟した楠正成は「最後まで父上と共に」と懇願する数え11歳の嫡子・正行に「お前は身命を惜しみ 忠義の心を失わず いつの日か必ず朝敵を倒せ」と諭し

帝より賜った菊水の紋が入った短刀(巻物)を授けて 今生の別れを告げた という話。

ここでは短刀の代わりに太刀が彫られています。

6. 陶淵明
中国六朝時代の大詩人・陶淵明。陶潜ともいいます。この彫刻は「飲酒」という作品の一節「菊を東籬の下に採り 悠然として南山を見る」を表していると思われます。

東籬とは(東側の)垣根の事。右に垣根があって 菊と山もありますね。
ここでは琴はありませんが 弦の張られていない琴を携え 酔っては心の中でその琴を奏でたと言われます。

陶淵明の上の小壁には ここのお目当ての一つの鰐鮫がありましたが 痛恨の極み 写真を撮り忘れてしまいました。なので切り抜きです。

7. 兎 蕪
脇障子級の彫刻が2点。ですが兎とカブだったので割愛します。
扉の右側

8. 鎮西八郎 源為朝
源頼朝・義経の叔父。身長七尺(2m10cm)を超える大男で 五人張りの強弓の使い手。暴れ者で13才の時に勘当され九州へ追放されるが 僅か3年のうちに九州を平定。

保元の乱 (1156) では上皇側についた為に敗北。朝敵として伊豆諸島に流され ここでも暴れ回り 伊豆七島を支配するするようになります。

追討が掛かり自害しますが 最後にせめて一矢だけでもと 300人ほどが乗る軍船に向けて矢を射かけ 見事に命中。船はたちまち沈んでしまう という場面だと思います。

為朝は 曲亭馬琴作 葛飾北斎画の「椿説弓張月」が有名ですが 原作はとても読めないので 私は平岩弓枝の「私家本 椿説弓張月」を読みました。お勧めです。
9. 竹林の七賢

三世紀の中国三国時代末期および晋代初期に老荘思想を主張し 清談を行った七人の思想家ですね。

パッと見 手前の4人しか気が付かなかったので 他の3人は別の板にいるのかと探しましたが 同じ板の左上に小さくいました。

10. 虎 筍
ここにも脇障子級の彫刻が2点ありましたが 虎とタケノコだったので 10まで紹介と言いながらも割愛。
扉の上には大迫力の龍。

ここの彫り物には 割愛した物以外全てに画題が彫り込まれていました。今回は寺社彫刻ではお馴染みの画題ばかりでしたが 中には珍しい物もありました。
其の三に続きます。
刺青師・龍元
022-02(2025.03.29)
コメント
いやぁ~凄い数の彫刻ですね!!700枚以上撮影されたとの事ですが、こんなにあると疲れますねぇ~。
胴羽目?の外枠にはラーメン模様?が彫られていて珍しいですね。
江革も珍しいですね、私的には群馬県の産泰神社の脇障子でお会いしただけです。
陶淵明は出会っても 不明 扱い。
竹林の七賢は仲が悪いのか2グループに分かれちゃっていますね(笑)
唐夫人へのいたずらも酷いですが、参上(参拝)記念?の柱への落書きも多いですね、
こう言うバカがいると保護のため金網で覆われちゃうんですよね。
集中力も2時間くらいが限界ですね。2時間以降はピンボケや撮り忘れが頻発でした。映画などでも2時間くらいを目安に作ってるなんて事を聞いた事があります。
江革は珍しいですね。他には木彫りではないですが、群馬の成田山不動堂で見かけました。
>こう言うバカがいると保護のため金網で覆われちゃうんですよね。
ホントですよね。まだマジックなんかは長〜い年月が経てば消えていきますが、彫り込んでしまったら取り返しがつきませんね。
onijiiです。
凄いですねえ。3分の一でこれだけの彫刻。
愛好家には堪りませんね。残り楽しみにしてます。
鰐鮫の彫刻は、関東で10ヶ所ほどチェックしてます。
九州にもあったのですね。リストに追加しときます。
ありがとうございます。
普通の神社の10倍以上の彫刻ですからね。
700枚以上撮ったので、どの写真を載せるか選ぶのも700枚の中から探さなきゃならず大変です。
鰐鮫は痛恨の失敗です。でもそれ以上の失敗をしました。次回ご報告致します。