小松吉五郎 [香取神社] 千葉県

水引虹梁上 龍 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和二年六月吉日、千葉県柏市の香取神社に参拝しました。

香取神社鳥居

これは拝殿なのかな。この神社は直接御本殿を拝む方式で、こちらには社号額も鈴も賽銭箱も無い。ここら辺ではたまに見かけますね。

香取神社拝殿

御由緒

創建年代不詳
天保九年(1838)現社殿再建
御祭神 経津主神ふつぬしのかみ
彫師 小松吉五郎為直

御本殿

覆屋は鉄骨で屋根を支えて、左右には細目の網をかけてあります。

香取神社御本殿

御本殿正面

向拝柱には昇り降りの

香取神社向拝

水引虹梁の上の龍。ここにも杉澤さんの千社札が。。。

水引虹梁上 龍

浜床下の蹴込み板には二十四孝が彫られていました。

右端には、真冬に魚が食べたいという継母の為に、体温で池の氷を溶かして魚を捕まえる「王祥おうしょう」。低体温症で死んでしまうので真似しないで下さい。

王祥

蹴込み板中央には、母を養う為に口減らしに赤ん坊を埋めようと穴を掘ったら、お宝ザックザクの「郭巨かくきょ」。

郭巨

右端は、身を挺して虎から父を守ろうとする「楊香ようこう」。二十四孝の中ではこれが一番まともです。ちょっと親父がだらしないけど、まあ年寄りと思っておきます。

楊香

御本殿右面

香取神社御本殿

胴羽目は「富士の巻狩り」から「新田(仁田)四郎の猪退治」。

巻狩りというのは軍事訓練みたいなもので、建久四年に源頼朝が富士の麓で行った巻狩りで、突然乱入して来た大猪を新田四郎忠常が退治します。実は猪退治には 源為朝山本勘助、犬田小文吾、大谷古猪之助、鷲ノ尾三郎 など沢山あります。が、これは左面胴羽目との兼ね合いから考えて新田四郎の猪退治だと思います。

新田四郎の猪退治

脇障子は「竹林の虎」。なかなか格好の良い虎です。

竹林の虎

御本殿左面

香取神社御本殿

胴羽目は、右面が新田四郎なので、同じく「富士の巻狩り」から「源頼朝」でしょう。

「富士の」と付くからには富士山も描かれるのが普通ですが、ここでは構図を優先して省略されたのだと思います。人物が大きく、迫力のある構図になっています。

源頼朝

「竹林の虎」

竹林の虎

御本殿背面

香取神社御本殿

これは何でしょう。これも頼朝関連かも知れませんが、分かりません。

背面胴羽目

他にも唐子シリーズや兎、犀、亀など沢山の見事な彫り物がありました。

刺青師・龍元

130(2020.06.23)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    作風が好みの神社です。
    王祥の低体温症には笑いました。
    自分は、呉猛を想像するだけでも恐ろしいです(笑)

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