令和七年 関東のとある天神社に参拝しました。
鳥居は何処かにあるのかも知れませんが 見当たりませんでした。

御由緒など詳細は分かりませんでした。

御本殿覆屋の中には 想像を遥かに超える立派な御本殿が鎮座していました。

向拝柱には梅に鶯でしょうか。風流な意匠が彫られています。

向拝の龍。

海老虹梁には化け鯉。不自然なほど真っ直ぐになっているのが変な感じですが 背ビレや角などが既に龍を期待させる形に成っているのが見どころだと思います。私の勝手な分類では化け鯉の前期型。

脇障子は欠損している様です。

胴羽目は桐が彫られているので 鸞ではなく 鳳凰で確定でしょう。

また 鳳凰と朱雀は同じとする説もありますが 一般的には別の霊鳥の様です。

背面です。

胴羽目は孔雀。孔雀は阿弥陀経の中で 白鵠 鸚鵡 舎利 迦陵頻伽 共命 と共に六霊鳥の一に数えられているそうです。勿論 私は阿弥陀経を読んだ事は無いので 誰かの受け売りです。

左面です。

胴羽目は麒麟。麒麟は言わずもがな 鳳凰・龍・霊亀と共に四瑞の一とされます。

これは格好良い!

右面の鳳凰も良かったですが この麒麟は今まで見て来た中で一番と言って良いでしょう。

こちらの海老虹梁の化け鯉は翼が生えています。通常 この段階では頭が龍に成っている事が多いですが これはまだ頭が鯉のまま。

向拝中備の裏側には 銘の様な物は見あたりません。

この御本殿の1番の見どころは何と言っても 縁下から今にも飛び出して来そうな この応龍でしょう。

応龍は飛龍とも呼ばれます。

Wikipediaには応龍は4本足と書いてありますが 寺社彫刻では一般的に二本足。

寺社彫刻探求における私の勝手な分類では 鯉→化け鯉→応龍→龍ですが 蛇が500年生きると蛟に成り 1,000年で龍 1,500年で虬龍 2,000年で応龍に成る とする説もあります。

波間にくねる尾は背面に続きます。

この波のボリューム感に感動‼︎

縁下に比べて腰羽目の簡素さはまるで えっ未完成なの? という感じ。

が 波と亀が彫られていて これだけ単体で見れば立派な彫り物。狙って簡素にしたのだと推察します。

たった2匹の応龍と波だけで これだけの空間を埋め尽くすのは 彫刻の技術は勿論ですが 画の構成力が並大抵ではないのだと思います。

さぞかし名のある彫師の作品だと推定出来ると思います。
良い物が見られたと感動しきりでした。
刺青師・龍元
023(2025.04.11)
コメント
いやぁ~ここは凄いですね!!縁下最高ですね!!
彫刻巡り段々とスイッチが入ってきました!!
相当の熟練が必要だと思いますが、これを彫った人の頭の中は一体どうなってんでしょうね。
気候も良くなって来て、彫刻巡りシーズン到来ですね!
onijiiです。
錺さんから教わり参拝しました。
入口が分からず、探しました。
縁下の応龍が大迫力でしたね。
化け鯉が独特で印象に残ってます。
連休に休みが取れたので、未訪問
地域だった秩父方面の調査を行う
予定です。楽しみにしてます。
以前有った所から遷座移設した様ですから、鳥居や参道は元々無いのかも知れません。なんでまたこんな所に?って感じですね。
秩父の調査ですか。結果が楽しみです。