立川和四郎富昌の真骨頂 [下教来石諏訪神社 再訪] 山梨県

通玄先生 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和五年一月下旬 山梨県北杜市の下教来石諏訪神社に参拝しました。

下教来石諏訪神社鳥居

ここは平成三十一年に新年寺社彫刻巡礼の旅で訪れましたが 名工・立川和四郎富昌の彫り物をもっと良く見ようと思って再訪しました。

下教来石諏訪神社拝殿

創建年不明
元和三年(1817)御朱印山より遷座
天保十五年(1844)本殿再建
御祭神 建御名方命たけみなかたのみこと

下教来石諏訪神社御本殿覆屋

覆屋の開口部は格子状になっていて細目の金網が張ってあります。

下教来石諏訪神社御本殿

前回見逃していた向拝中備の張果老瓢箪から駒。

張果老の瓢箪から駒

海老虹梁の龍。

海老虹梁の龍
海老虹梁の龍

和四郎の龍は蛇腹の間隔が広め。

海老虹梁の龍

脇障子は手長足長です。

手長足長

手長足長の彫り物は非常に珍で これが一番の見どころと言っても良い位ですね。

手長足長

ここの他には長野県の安良居神社に同じく和四郎の手長足長があるそうです。

手長足長
下教来石諏訪神社御本殿

胴羽目は酒亀の周りで踊る猩々。

猩々

猩々とは呑んでも飲んでも酔わない 人間ではない不思議な生き物。

猩々

汲んでも汲んでも尽きない不思議な酒甕から酒を汲み出します。

猩々

このツルンとした顔が堪りません。

猩々

本当に楽しそうです。

猩々

人物の顔の造形は和四郎の真骨頂ですね。

猩々

好みもあるでしょうが。

猩々
下教来石諏訪神社御本殿

背面は唐獅子牡丹。

残念ながら 覆屋背面は波板で塞がれているので 斜めからの鑑賞になります。

下教来石諏訪神社御本殿

左面胴羽目も猩々です。

猩々
猩々

大杯を傾ける猩々。

猩々

「さあさあ 呑んで呑んで」

猩々

他所の神社の話ですが 猩々の事を「大杯を傾ける酒呑童子」なんて紹介している所があります。

猩々

字面はピッタリなので気持ちは分かりますが ホントの酒呑童子は人肉を喰らう鬼です。

猩々

手長足長は 各地に伝わる伝説に登場する巨人ですが 長野の諏訪地方では諏訪明神・建御名方神たけみなかたのかみの家来とされているので そんな訳でここにあるのかな なんて推察します。

手長足長

足長彦神 別名・足名椎命あしなづちのみこと 日本神話では櫛名田比売くしなだひめの父神という事になっています。

手長足長

手長彦神 別名・手名椎命てなづちのみこと 日本神話では櫛名田比売の母神という事になっています(えっ!お母さん?)

手長足長

各地の伝説では 旅人をさらって喰ったり 太陽を覆って作物が育たない様にしたりする悪いヤツです。

手長足長
海老虹梁の龍
海老虹梁の龍
張果老の瓢箪から駒
下教来石諏訪神社御本殿

立川和四郎富昌は人物の造形が良いと思いますが あまり胴羽目の大作は残してない様に思います。残念な事です。

刺青師・龍元

034(2023.03.26)

コメント

  1. onijiiです より:

    onijiiです。
    食い入るように見ました!
    強烈なインパクトですね!!
    どうしても行きたい所の一つです!!!
    生で感動を味わってみたいです。(笑)

    • onijiiさん おはよう御座います。
      手長足長最高ですよね。猩々もこれぞ和四郎って感じで良いですね。

      ここは車通りの激しい20号沿いですが、裏の道なら殆ど車通りが無いので路駐出来ると思います。

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