令和四年九月中旬 群馬県沼田市の勝軍地蔵雨宝殿に参詣しました
勝軍地蔵とは鎌倉後期に勃興した地蔵信仰で 甲冑を身に付けて馬に乗った姿で表される 悪行煩悩の軍に勝つ地蔵という意味です
文政十一年(1828)大改修で現在の姿に
平成七年(1995)現地へ移築
木鼻は阿吽の向い龍で 迫力があります
吽形の龍 200年近く前の彫り物ですが ほぼ完全な形を保っている様です
手挟みは葡萄に栗鼠 海老虹梁の上には木鼻から続く龍の胴体があります
反対側も同様です それにしてもこの栗鼠は鼠っぽいですね いやカピバラか
右の木鼻は阿形の龍
持送りは魚 太いのや細いのがいますね
大きい魚は鰓蓋に鱗があるので鯛でしょうか?それともメバルかな?(エラブタと打ったら偉豚と出て来ました)蛤の様な貝もいます
唐破風下は韓信の股くぐり
チンピラに言われるままに股をくぐる韓信を街の人々は笑いましたが のちに韓信は漢の三傑と言われるまでになります
中備は 櫛名田比売が居るので 須佐之男命の八岐大蛇退治で間違いないと思いますが 八岐大蛇が居ません
木鼻の龍を大蛇に見立てているのかも知れません
着衣の柄も細密に彫られていて見応えがあります
正面上部の欄間には人物の彫り物がありました
龍や獅子ばかり見て人物に興味が無いという人が居ます
刺青についても言える事ですが 物語が分かれば人物の方が面白いのになぁと思います 私見です
青龍偃月刀を手にした長髭の関羽雲長
虎髭の張飛翼徳 関羽に負けず劣らず張飛の髭も立派!
従者たちは遊び呆けています
私もマスク生活で2年近く髭を伸ばしっ放しにしてみましたが この二人の様にはなりませんでした さて 関羽の指差す先は。。。
劉備玄徳が門前で童子と話をしています
門の奥の建物の中では 諸葛亮孔明がお昼寝中
これは三国志演義の三顧茅廬 いわゆる三顧の礼です
劉備が諸葛亮を軍師に迎えようと家を三回訪ねて 三回目でやっと在宅していたが お昼寝中だったという場面
「先生はお昼寝中ですが。。。」
「では お目覚めになるまで待ちましょう…」
私の髭は2年でこれ位↑までしか伸びませんでした
もっとも関羽などは 自慢の髭には大変気を使っていた様で 曹操が関羽の気を引くために綾錦でヒゲ袋を作らせ関羽にプレゼントする というエピソードがある程ですから きっと薬草でトリートメントなどもしていたに違いありません
現代ならきっと週一で美容院に行き ストレートパーマをかけてヘアマニキュアでサラサラヒゲに。。。
私ごとき青二才が思いつきで真似の出来る所業ではないのです
斗栱間の支輪には鳥と菊の華
扉には亀 虎 鳥 龍の彫り物がありましたが 亀は玄武ではなく 鳥は朱雀ではない様でした
内部の欄間にも神仙の彫刻が有るそうです
緻密で見応えのある素晴らしい彫り物でした
刺青師・龍元
134(2022.11.17)
コメント
onijiiです。
素晴らしい彫刻が満載ですね。
場面がリアルに表現されてますね。
行きたい寺社リストに追加しました。
龍や獅子は違いが分からないオンチ
なので、もっぱら人物を見てます。
アップの写真はとても嬉しいです。
ありがとうございます。
犬や猫の表情は飼い主でないと中々分かりませんが、人間の表情は分かりますからね。
アップで撮ると、この彫師はこんな所まで神経を使って彫り込んでいたのか、と驚かされる事がしばしばです。