私の六本木の刺し場から歩いて20分程の所に龍生院というお寺があります。(追記あり)
龍生院(りゅうしょういん)
高野山真言宗
創建 宝暦五年(1755)
本尊 弘法太師
二代目・彫芳ゆかりのお寺
ここは「麻布の先生」「提灯屋」と呼ばれた世界的に有名な刺青彫師、二代目・彫芳師匠が倶利伽羅龍の絵を奉納したお寺。あの刺青写真集の表紙にもなってる例の絵ですね。
因みに知らない人のために書いておくと、彫芳とは浮世絵で有名なあの国芳の流れの彫師です。二代目・彫芳の父である初代・彫芳が国芳の弟子で、芳年とは兄弟弟子。昔は刺青下絵を描いたり、実際に刺青を彫ったりする浮世絵師もいたそうです。初代彫芳は時代の流れもあるのか完全に刺青彫師に転向した人ですね。刺青と浮世絵がかなり密接な関係だった事が伺えます。
国芳、初代・彫芳、二代目・彫芳と物凄い流れで世界的に超有名ですが、彫芳という看板は残念ながら今はもう絶えてしまっています。横浜の三代目・彫よし先生とは関係ありません。
10年位前にお客さんに件の絵の存在を聞いたので行ってみると、外からガラス越しに見る事が出来ましたが、住職は気さくに私を中に招じ入れて近くで見せてくれたりしました。
古い写真を整理していたら7、8年前に訪ねた時の写真が出てきました。
海老虹梁に巻き付く龍。あまり精巧な出来とは言えない彫り物ですが、私の方も彫り物の事なんかこれっぽっちも解ってなかったし、写真も当時使っていた携帯電話のカメラで撮影したものです。
現在の龍生院
3年前 (2015年11月)アメリカの彫鈴が来ていた時、見せてあげようと再度訪ねてみると、ひなびた古いお寺が無い!代わりに白い豪奢な鉄筋コンクリート五階建て位の大きな建物が建っていました。
とてもお寺には見えなかったけど、名前は一緒。
鈴右衛門を連れて来ちゃったし、勇気を振り絞ってモノ凄〜く近寄りがたい玄関の自動ドアをくぐると中はまるでホテル。スーツ姿の人が怪訝そうな顔で出て来ました。来た訳を話すともう飾ってないと言います。住職を呼んで貰ってダメ元で「見せて下さい」とお願いしてみると「倉庫にしまってあるから今日は見せられない、来週また来てくれ」との事。言ってみるもんですね。
次の週行ってみると話も通っていて、事務の人が案内してくれた上階の奥の部屋には大きな額に入った倶利伽羅龍の絵が。40年以上前の絵なのに色も鮮やかで再び感動でした。おまけにその倶利伽羅龍のポスターまで貰ってしまった。
少額ですが、もちろんお布施も置いて来ました。
追記 19.09.27 2015年に私達が訪ねた時点でお寺としてはもう廃業していて、現在は霊廟になっている様です。追記終わり。
刺青師・龍元
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