ここら辺だと福生と横須賀が有名ですが、実は六本木にもあるんですよ

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プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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私の所には年に3〜5人ほど米兵がお客さんとしてやって来ます。皆、ワンポイントではなく肩に額で五分袖七分袖とか背中に抜き彫りだとか、結構大きいモノを入れて行きますね。今日も七分袖の人が1人仕上がりました。

福生からだと下士官より上の階級、横須賀からだと兵卒が多い様な気がしますが、確かめた訳ではなく年齢や雰囲気からの推定です。

陽気な米兵の中には彼女や奥さんを連れて来る人がよくいます。奥さんを連れて来る様な人はやはり階級も上だと推定される訳で、聞くと福生からという人が多く、彼女を連れて来る人は横須賀が多いのです。

彼女というのは、いわゆるアメ女と言うんでしょうか、米兵好きの日本人の女の子、つまり現地調達の女の子の様に見えます (コレも聞く訳にはいかないので推定です)  。

数年前、ウチで五分袖を仕上げたG君は本土の基地への配属を命じられて、
「彼女どうしようかな、参っちゃったよ」
なんて笑って話していました。笑ってはいても、一応悩んでいるのですから彼は彼なりに真面目だったのかも知れません。いきなり行方知れずなんて話もよく聞きますしね。逆に、配置転換をキッカケに結婚するんだと話していたK君も印象的でした。刺青は仕上がりませんでしたが。

30年前、私がアメリカを放浪していた時、黒い肌の赤ん坊を抱えた日本人の女の子と知り合いました。その子が日本にいる時に付き合っていた彼氏は横須賀の基地にいて、妊娠を告げると連絡が取れなくなったそうです。彼を探しに大きいお腹を抱えて1人でアメリカにやって来て、独りで赤ちゃんを産み、苦労して方々探すその姿はとても力強くタフに見えました。

日本では傍若無人な米軍も、アメリカ本土へ行けばキチンとした対応を取らざるを得ないらしく、階級・名前などから彼氏の現在の部隊を突き止めてくれて、彼女はすぐさま旅立って行きました。なんてったって赤ちゃんはアメリカ生まれですからアメリカ国籍です。その母親が父親を探しているのですからね、居場所を探して貰う権利がある訳です。タフな彼女は今頃はどうしているのでしょうか。あの赤ちゃんももう30才になる計算です。

自由恋愛の世の中ですから、誰がどこの国の人間と付き合おうが私の知った事では無いのですが、彼らは数ヶ月、少なくとも数年後には何処かへ配置転換される訳です。そんな事言われなくても分かっているのだろうけれど、日本の男と同じ様に無責任でいい加減な男も沢山いる訳です。30年前に会ったあの子の様な境遇になったら、この子はどうするだろう、なんて考えたり。余計なお世話なんですけどね。

刺青師・龍元

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