電話噺第7弾!

fuji いろいろ
fuji
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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もう10年位前の話です。

ある日刺し場に電話が掛かって来ました。
「K社の〇〇ですけど、ご無沙汰してます」

K社というのは実話系雑誌を発行している出版社で、当時、塀の中のお客さんを勇気付ける意味で、毎月刺青の写真を送っていました。塀の中では何年も代わり映えのしない毎日が続くので、私の作品が雑誌に載ると、お客さんとしては同房の仲間に対して鼻が高かったり、勇気付けられたりという事があるのです。

「はあ…」
出版社の名前はもちろん知っていましたが、私は〇〇さんというのは心当たりがありません。

「いつも原稿送って頂いてありがとうございます。ところで□□□□の事なんですが、ご存知ありませんか?」

□□□□が何だったか今では覚えていない位に私には興味の無いモノだったし、なぜそんな事私に電話掛けて聞くのだろうと、もうチンプンカンプンで、私は「はあ」とか「さあ」とか答えていましたが、
「これからもよろしくお願いします」
と電話は切れました。

後日、知人に話すと
「そりゃ、振り込め詐偽じゃないかな、出版社の名前出せば調子を合わせる彫師もいるんだろう、それで乗って来りゃ、先生の企画で何ページか特集を組むとか何とか言って、金を振り込ませるんじゃないのかな」
との事。

丁度その頃は振り込め詐偽が問題になり始めていて、別の人に話すと
「そういうの流行ってるよね、〇〇会の代行も200やられたらしいよ、あの業界はいちいち確認取らなかったりするからな」
「へえ、不良相手にやるヤツがいるんだねぇ」
「上には上がいるさ」

そう言えば、昔出張で行ってたある事務所は空き巣に入られたと言ってたし、葬儀の最中に車上荒らしを捕まえたお客さんもいました。今は知りませんが、昔は不良専門の空き巣狙いや、葬儀などの義理事で集まってる不良の車専門の車上荒らしがいるという話を聞いた事があります。それに比べたら彫師なんてチョロいもんかもね。

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