令和元年長月吉日、埼玉県熊谷市上新田の諏訪神社に訪れました。この日は薄曇りでたまに小雨がパラついていました。
案内板によると彫師は上州花輪村の石原吟八郎。これは期待出来そうだぞ ( ´ ▽ ` )ノ
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由緒
寛保二年(1742)拝殿建立
延享三年(1746)本殿創建
昭和四十一年(1966)台風のため拝殿倒壊
昭和四十二年(1967)拝殿再建
御祭神 建御名方命(たけみなかたのみこと)
埼玉県指定有形文化財(建造物)
彫師 上州花輪 石原吟八郎
拝殿
水引虹梁上には玉巵弾琴(ぎょくしだんきん)。龍が琴の音に聞きほれるという構図です。
唐破風下太鼓羽目には林和靖(りんなせい)。梅と鶴をこよなく愛した詩人。
本殿
裏に回ると覆屋がありました。なんと、窓が頭より高い位置にあって、しかもその下には庇が張り出ていて、これじゃぁ窓に手が届かない。。。こいつは手ごわいゾ ((((;゚Д゚)))))))
なんとか撮影に成功。でも直接ファインダーを覗けなかったのでちょっとピントが甘いかな。
これは何でしょうね。写真を撮った時には農耕図だと思ったんですが、よく見ると刀を差しているし、馬には飾り鞍がついているので武士の様です。河を渡ろうとしているのか。。。なんか、馬の右側に立っている人が頭に手を置いているので、困っている感じがしますね。。。
次は背面ですが、残念ながら覆屋の背面には窓がありません。でも、西側には庇が無かったので、窓に張り付いてカメラを差し込んで撮影。
とにかくどこもかしこも地紋彫りが凄い!
こっちも何だろうな?武装した侍が七人。東面の胴羽目と続いている話だとしたら、何とか河を渡れたって事でしょうか。
本殿の正面と西面。
脇障子には唐子風の人物。最初は寒山拾得かと思いましたが、よく見ると三人いるし、上の人物の持ち物は箒ではなく薙刀の様に見えるので、ただの唐子遊びか?
西面胴羽目にはこれまた物語の一場面の様な彫り物。左上には龍。その横には軍配を持った毘沙門天風の武人。さらに真ん中あたりでは侍が頬杖をついていて、その横に貴人らしき人が侍を慰めている様にも見えますね。その横に狐。手前の人は体育すわりで膝に顎を乗せて… どう見ても全体的に酷くがっかりしている雰囲気が出ています。戦いがうまく行かなかったのか。
二重虹梁間には風神。という事は東面の二重虹梁には雷神がいたはず。庇が無かったらなあ。
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覆屋も手ごわかったですが、彫り物も一筋縄では行きませんでした。もっと勉強します。。。
追記 19.10.04 ー 「日本建築学会技術報告集 第22巻 第51号 上新田(埼玉県熊谷市)の諏訪神社本殿の建立年代の再検討と職人の作風について」によると、ここの諏訪神社は、15代続く柴田家の三代目柴田右馬之助道忠が、上新田に土着した際に信濃の諏訪大社を勧請したとされ、側面背面の胴羽目は、柴田家が上新田に土着するまでの伝説をモチーフにしたものとされているそうです。
刺青師・龍元
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