佐藤正貫 二年掛かりの傑作 [大内神社] 埼玉県

令和三年八月、埼玉県東秩父村の大内神社に参拝しました。

社殿は東向きです。

がらんどうの拝殿。その奥には佐藤正貫が二年掛かりで仕上げたという彫り物で飾られた見事な御本殿が鎮座しています。

明治三十年（1897）本殿再建
御祭神　天明玉命あめのあかるたまのみこと　他十柱
彫師　佐藤正貫

拝殿と鞘殿を仕切る扉の上は何故か金網。鳳凰と龍の様ですが、あまり良く見えません。でも本来なら壁になっていて向こう側は見えないのだと思えば綱で良かったのか。

向拝柱には龍。扉には唐獅子と牡丹。脇板には錦鶏です。

左側の柱の龍は私の好きな巻毛タイプ。

裏へ廻ります。今回は何となく左から。幟竿の置き場になっていて鑑賞しづらいです。

窓は木の格子＋金網。

胴羽目は応神天皇誕生。神功皇后と応神天皇を抱く武内宿禰です。

神功皇后の右手の人差し指は何故こんなに腫れ上がっているのか？

よく見たら軍配の柄でした。

唐子が木階きざはしを支えています。

浜床と腰組の間（ここの名称が分かりません）には虎が潜んでいました。

右側に廻ります。

蝦虹梁には梅の木が彫ってあるのだと思いますが、もはや建築部材としての役目を果たしてないだろうと思われます。私がぶら下がったら折れますね。

木階を支える唐子。この不気味な顔が堪りません。

こちら側は北向きだからか、随分と苔むしてます。

胴羽目と脇障子も素晴らしい出来です。

小鳥を威嚇する鷹。

須佐之男命の大蛇退治。

躍動感溢れる須佐之男です。

背面に廻ります。

背面も日本神話から、天岩戸です。

随分と吊り目の手力男命たじからおのみこと。

随分とドングリまなこの猿田彦命さるたひこのみこと。

お多福の様な天鈿女命あめのうずめのみこと。醜女です。天鈿女はこうでなくてはいけません。

笛を吹く神の横には佐藤正貫の銘がありました。

佐藤正貫は明治から昭和にかけて活躍した人で、群馬県の鬼石神社の拝殿や近隣の山車などにも作品を残している様です。

素晴らしい神社でした。

刺青師・龍元

112（2021.09.17）