令和五年一二月中旬 埼玉県秩父市の三峯神社に参拝しました。
十月にも参拝しましたが あまりの彫刻の多さに集中力が途切れてしまい ピンボケだらけだったので再訪しました。
今回のお目当ては鳥居横の八棟灯籠。写真は十月の物も混ざっています。
四方に唐破風をつけ 丸く回廊を回した 灯籠と言うには変わった造り。安政四年(1857)建立です。
正面の破風入りには琴の音で龍を魅了する玉巵弾琴がありました。
正面扉の上には仙人がお座します。
左側は 梅を妻 鶴を子の様に愛した 林和靖。正確にいうと世捨て人の詩人ですが しばしば仙人に混ざって彫られています。
その隣には董奉(虎仙人は他にもいるので 違うかも)。董奉は仙人扱いされてますが 本職は医者で 貧しい病人を診て 代金を取らずに杏の木を植えさせたと伝わります。
回廊下組物間には十二支。さらにその下の持ち送り?の様な物にも 豪華な彫刻が施されていました。
これは韓信の股くぐりですね。
街でチンピラに絡まれて 云われるままに股をくぐる韓信。
「俺の股をくぐれ!」と 街の気の荒い肉屋の若者。この顔には見覚えがあります。
↓これは栃木県益子町の八坂神社胴羽目の趙雲救幼主。同じ人か 同門の人の作品なのかな〜と想像します。
韓信を見て人々は笑ったが 後々 韓信は 張良・蕭何と共に 漢の三傑と呼ばれる様になります。
一体 この人の首はどういう事になっているのか。。。
右面です。
唐破風下のこれは誰でしょう?トカゲみたいな怪物をやっつけている人が彫られています。
刺青の図柄に「岩沼吉六郎信里の化けイモリ退治」というのがあります。
怪物は化けイモリみたいな感じですが 彫刻の人物は 国芳の絵とは違って中国風。
視線を下に下ろして行くと こちらの面には胴羽目彫刻がありました。
三国志の名場面 劉備玄徳 的露に乗り檀渓を跳ぶ。
こちらも波などの造形を含めて 栃木県益子町の八坂神社の胴羽目↓と酷似しています。少なくとも元絵は同じでしょう。
胴羽目の上には麒麟を従えた上元夫人。西王母の次にエライ女仙です。頭上に見える梁は鉄骨の様に見えますね。補強材でしょうか?
以前は麒麟に女仙といえば 孔子が生まれる直前に その母親の元に麒麟が現れたという話の 麟吐玉書としていましたが 最近は勝手に判断して 上元夫人とする事が多いです。明確な区別は分かりません。
その隣の彫刻。綸巾をかぶった このエラそうな人は どなたでしょう? この鳥は鳳凰とはチョット違う? 尾長鶏の様にも見えます。その手前にはひよこ。
縁下の彫り物です。
猿を連れたこの人は 韓信の股くぐりに よく出てくる街の見物人だと思うのですが どうでしょう? ここでは犬も連れてます。
するとこの人は背面の彫り物に関係ある人?
でも背面は 黄石公と張良なので 関係無い様な。。。猿を連れた人とは お互いにそっぽ向いているので そちらとも関係ない様な感じ。すると単独の何かの場面でしょうか?
後編に続きます。
刺青師・龍元
108-02(2023.12.23)
コメント
onijiiです。
紹介数900ヶ所到達凄いですねえ。
大変お疲れさまです。おかげさまで、
各地の素晴らしい彫刻を楽しんでます。
江戸時代から残る貴重な文化財である、
寺社彫刻の調査報告・写真集ですね。
装飾彫刻がこれほど広範囲に数多く
流行していたとは驚きです。
これからも楽しませていただきます。
ありがとうございます。
Onijiiさん こんにちは
早い物で、気が付いたら900になってました。それもこれもonijiiさん始め沢山の方々の情報提供や、画題解明のお助けがあればこそです。
状況が落ち着いて来て仕事が忙しくなり中々以前の様には書き進められないのですが、少しずつ続けて行きますのでこれからもよろしくお願いします。