令和三年九月下旬、栃木県真岡市の稲荷神社に参拝しました。
創建年不詳
慶安元年(1648)再建
元禄五年(1692)改修
安政六年(1859)現本殿再建
御祭神 稲倉魂命
裏へ廻ります。
見事な御本殿です。
斜めからだと分かりづらいですが、向拝には水引虹梁が無く、向かい龍の彫り物があります。
ここら辺でよく見るタイプです。
向拝柱は梅の木。なかなか凝った作りです。
正面扉脇板には葡萄に栗鼠の彫り物。実を沢山つける葡萄と、子沢山のネズミに似ている栗鼠を合わせた図柄である事から子孫繁栄の吉祥図柄として親しまれています。「武道を律す」に通づるので武具の装飾にも使われるそうですが、駄洒落系はチョットこじつけ感が拭えませんね。
海老虹梁は応龍。
妻壁には龍がありました。
左面胴羽目は黄石公と張良。試練を乗り越えた張良は黄石公から兵法書を授かります。
〜追記(2021.10.27)今までこの図柄は「黄石公と張良」だと思い込んでいましたが「漢文帝と河上公」の可能性もあるそうです。小心さんにご教示いただきました。詳しくはコメント欄をご覧ください。追記終わり〜
黄石公の顔面には大きな傷が。何があったのでしょうか。
御本殿背面。
胴羽目は三条小鍛冶宗近。勅命により御剣を打つ宗近。相槌を打つのは稲荷神。
右面には御幣が置いてあり、胴羽目はよく見えませんでした。
隙間から覗いてみると、どうやら牛若丸らしき少年が巻物を広げています。
右面の妻飾りも龍。
海老虹梁は応龍。
左右の胴羽目が共に兵法書を授かる場面で、一番大きなメインとなる背面胴羽目が稲荷神社らしく、稲荷神にまつわる説話。中々バランスが良いと思います。
刺青師・龍元
133(2021.10.26)
コメント
onijiiです。
こちらも先日再訪しました。
小さいながらも見事な彫刻ですね。
御幣から信仰心が伝わってきます。
愛好家には残念ですが・・・。
紙垂を挟んだものを御幣と言うのですね。
勉強になります。(笑)
御幣は数年前からあそこに置かれている様で、何年か前に訪問した方のブログでははっきりと写っていました。天狗に兵法書を授かる牛若丸で間違いなさそうです。
本当に愛好家泣かせです (T ^ T)
「北斎の絵本挿絵(二)」という本の中に収録されている「唐詩選画本 七言律」のうち「九日登仙台呈劉明府容」というタイトルの挿絵があります。
http://imepic.jp/20211027/265100
(漢文帝が河上公という隠者から、老子に関する書物を受け取る場面。「黄石公と張良」の構図と似ています。)
巻物を受け渡すシーンにおいての「黄石公と張良」と「漢文帝と河上公」の判断の決め手はどこだと思われますか。何かご存じでしたらお聞かせ願えませんでしょうか。
川が近くに描かれていたら「黄石公と張良」かな、と今まで勝手に判断していたのですが「神仙伝」を確認したら河上公は「黄河のほとりに草庵を結んでいた」と書いてあったので混乱しています。
「漢文帝と河上公」という話は知りませんでした。今まで「黄石公と張良」だと思いこんでいた物も再検討の必要がありまね。と言ってもどっちがどっちかは私には分かりませんが。
中国の話は奥が深いですね。ご教示ありがとうございます。
m(_ _)m