令和六年五月中旬 茨城県常総市の延命院に参詣しました。
ここは不動堂の裏にある将門の胴塚で知られていますが 不動堂と観音堂にも見どころがあります。
まずは 不動堂。造営年などの情報は見つかりませんでした。
向拝には見事な龍が二匹。
左側の龍です。
巻き毛の龍です。
右側の龍。
ここのお目当ては 宝永七年(1710)建立といわれる観音堂の二十四孝の彫刻。
正面の左側。母を養う為に口減らしに子を埋めようとして金塊を発掘した 郭巨です。
スライスされてしまってます。建立時に製作されたとしたら 300年以上前の彫り物なので 仕方ないかも。
中央には編額と紋章。
右側は孟宗。病床のタケノコ好きの母のために 雪の中でタケノコを探し続け とうとう一抱えもある大きなタケノコを見つけて大喜びで駆け寄ります。
でも こんなに育ってしまったタケノコ 食べられるんだろうか。
右面に廻ります。
左側は 雷が鳴る度に 雷ぎらいだった母の墓前に駆けつけた 王裒。
雷の鳴る方向が気になって 気が気ではありません。
物凄い形相で迫り来る雷神。これはお母さんでなくても恐い。
中央は 二十四孝 頻出の 唐夫人。
歯の無い姑に乳を与えます。
例の如く 遠い目をする唐夫人。「はあ… あたし 何やってんだろ…」
右側は 真冬に生魚が食べたいと駄々をこねる 意地悪な継母のために 凍りついた川に寝そべり 氷を溶かして魚を捕まえる王祥。
この魚にはお髭があるので 鯉なのでしょう。鯉の洗いでも作ったんだろうか。刺身でも美味しいですけどね。
背面は十二支の蟇股のみだったので 左面に廻ります。
左側は二十四孝の中では それ程ポピュラーではない 庾黔婁。
父が不治の病になり 北斗七星(北極星)に身代わりになることを祈り続けたそうです。
中央は 二十四孝 筆頭の大舜。
実の父や継母 継母の連れ子に虐待を受けながらも 孝行を尽くし 皇帝にまで登り詰めます。
舜の畑仕事を手伝う象。小鳥が象の左上にいます。
右側は 二十四孝のレギュラー 我らが楊香です。
自分の5〜6倍の重量があろうかという 巨大虎に果敢に立ち向かう 14歳の楊香。
木の影に隠れる父親。 もう お父さん しっかりしてくれよ!
という感じで 劣化してしまっているのが少し惜しいですが 素晴らしい彫り物でした。
刺青師・龍元
051(2024.05.29)
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