令和五年六月上旬 栃木県栃木市の愛宕神社に参拝しました。
慶長十二年(1607)創建
御祭神 火結命
拝殿と御本殿覆屋を兼ねた社殿には側面に窓がありました。
が 窓は曇りガラス。中は全く見えません。
幸い 前は全面が格子だったので斜めから。
脇障子は 西王母から盗んだ桃を持った東方朔と思われます。
「支那の仙人 仙術を得て齢八百歳に及ぶといふので 古来目出度い画題として盛に描かれ 西王母と対幅となつているものなど殊に多い。」(金井紫雲著 東洋画題綜覧より抜粋)
胴羽目はどなたでしょう。
童子が二人。一人は笙を吹いているのだと思われます。
これで龍か鳳凰がいれば 笙を吹いて龍/鳳凰を呼ぶ 蕭史仙人だと思うのですが。
正面扉脇板には龍。議論のある所ですが 私は目線が上を向いていれば登り龍と教わりました。
木鼻の獏。
向拝中備の龍。
兎ノ毛通しには菊の華。
よく手入れのされた御本殿です。
このお爺さんの様な龍は よく見ると上顎にはトゲ 下顎には毛が生えています。
扉脇の龍。
右面胴羽目には凛々しい男性。
虎がいるので これは董奉だと思います。
「仙術を得てよく人の病を治す。癩病者を治し 又旱天に雨を降らせたりして徳を施こしてゐた。殊に面白いのは治療して銭を取らず 返礼には杏を植ゑしめたことである。」(金井紫雲著 東洋画題綜覧より抜粋)
脇障子は梅と鶴をこよなく愛する詩人の林和靖。
「廬を西湖の孤山に結んで詩作に興じ一歩も湖外に出でず 客あれば童子をして鶴を放たしむるといふ。梅を愛し鶴を養ひ 悠々たる生涯は誠に道釈人物中の好画題である。」(金井紫雲著 東洋画題綜覧より抜粋)
どの彫り物も彫りが深く 仙人の表情や髭や眉なども緻密に彫られています。
これだけの彫り物を 真横から後ろから 見られないのは残念です。
素晴らしい御本殿でした。
刺青師・龍元
066(2023.06.13)
コメント
onijiiです。
いい顔つきしてますねえ。
素晴らしいです。
腕のいい彫り師ですね。
公開することがあるのなら、
ぜひ拝見したいと思います。
Onijiさん おはようございます。
この覆屋は、元々は側面背面ぐるりと格子だったのを、ガラス窓をつけて外側から波板張って改修した物みたいですね。
まあ、開口部は少ない方が保存や掃除の面で有利ですが、せめて素通しのガラス窓にして欲しかったですね。