令和五年七月上旬 栃木県さくら市の船魂神社に参拝しました。
住宅地の中に鎮座していて 開発からギリギリ逃れているといった感じです。
立派な御本殿です。
向拝の龍。
持ち送りは菊の華。
脇障子。箒を持った人物といえば 風狂僧の拾得か高砂の媼です。
向拝柱には龍が巻き付いています。
通常 向拝柱の龍は内側を向いていますが ここのは互いにソッポ向いてます。ひょっとして付け間違えたか?まさかね。。。
右側脇障子は巻物を持った人物なので寒山。両側で寒山拾得でしょう。
覆屋の横窓は素通しガラスにアルミの格子。高さも丁度良く 鑑賞にはうってつけです。
前から見て想像していた通りの 見事な御本殿です。
海老虹梁は丸彫りの龍。
梁としての役目は殆ど無いだろうと思います。
胴羽目は西王母。
艶やかにして麗しい天の女主人として 絶大な信仰を集めます。
孫悟空が食い荒らした事もある 不老不死の仙桃(蟠桃)を捧げ持つ従者。
前漢の武帝が長生を願っていた際 三千年に一度咲くという仙桃七顆を与えたといいます。
背面は窓が無かったので 斜めからの鑑賞になります。
胴羽目は金銀財宝を積んだ宝船。
吉祥図柄としてはこれ以上は無い という位におめでたい図柄ですが 神社では案外見掛けません。
覚えている限りでは佐久市の飯綱神社で見た事があるだけです。
左面です。
胴羽目。 鹿仙人は何人もいますが ポピュラーな寿老人という事にしておきます。
襟に残った僅かな彩色を見ると かつてはかなり精緻な彩色だった事がわかります。
彩色が剥がれて鑿痕が見えています。
一流の彫物師はヤスリを使わない。ヤスリを使うのは素人仕事 なんて聞いた事があります。
先日 カナダから友人が遊びに来ていたので 帝釈天に連れて行って その話をしたら 「なんで?使った方が滑らかになるのに。。」と彫り物の前で不思議そうな顔をしていました。
ヤスリを使うと角が甘くなるとか表面が荒れるとか 色々言いますが まあ 分からない人には分からないですよね。
って私も「そんなもんかな」って思ってるだけです。
縁下には三面とも 火除けの犀が彫られていました。
海老虹梁の龍。
この日はここで終了。時間的にはまだ行ける明るさでしたが 暑くて疲れてしまいました。最近の暑さは異常ですね。皆さんも熱中症には気を付けて。
刺青師・龍元
078(2023.07.28)
コメント
向拝柱の龍は、左右を間違えてしまった感じですね
普通の人なら分からないですね、
龍元さんが 普通の人 ではない と言っているわけではありません(笑)
多くの彫刻を見ているので、違い がすぐに分かっちゃうんですね
私はまだまださっぱりですが、作風から彫師を推定 できる目を持ちたいなぁと思っています。
錺さん おはようございます。
いえいえ、普通でない=ヘンタイは褒め言葉です。
多くの彫刻を見ているというより、職業柄、阿吽の位置や龍の目線が気になってしまうんですね。
作風から彫師を推定するのは本当に難しいですね。私は目の前にある彫り物に見惚れるだけです。