荒削りながら素晴らしい彫り物 [八坂神社] 茨城県

素戔嗚尊 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和三年新年巡礼二十三社目、茨城県龍ヶ崎市の八坂神社に参拝しました。鳥居の写真は撮り忘れました。

康平年間(1057~68)創建
御祭神 須佐之男命すさのおのみこと

裏へまわると頑丈に作られた覆屋で守られた御本殿がありました。

八坂神社御本殿覆屋

覆屋内部。

八坂神社御本殿

御本殿右面には立派な彫り物が施された胴羽目と脇障子がありました。

八坂神社御本殿右面

これは、日本武尊やまとたけるのみことかも知れないと思います(自信なし)。

日本武尊

似た感じの浮世絵。この絵は「日本武尊が武具を武蔵国秩父の岩倉山に納める」場面。

日本武尊

因みに、武蔵という国名は「武器をおさめる」から来ている、という説があるみたいです。

杖を持つ左手を見ると結構彫りが荒いです。

日本武尊

脇障子は黄石公と張良。馬も龍もいません。

黄石公と張良

御本殿背面。

八坂神社御本殿

胴羽目は御祭神の須佐之男命の八岐大蛇退治やまたのおろちたいじ

素戔嗚尊八岐大蛇退治

大蛇にはちゃんと頭が八つあって酒瓶に頭を突っ込んでますね。

八岐大蛇

櫛名田比売くしなだひめの左側には文字の刻まれた札がありました。「須佐之男命乃〜」「足名椎手名椎あしなづちてなづち〜」といった文字が読めるので、大蛇退治の話が彫ってあるのだと思います。

八坂神社御本殿背面胴羽目

御本殿左面。

八坂神社御本殿左面

残念な事に一番大事な中央部が破損しています。

八坂神社御本殿左面胴羽目

足が四本あるので二人いるのでしょう。一人は足にはすね当てがあって、腰には剣が差してあるので武人なのだと思います。もう一人は脇に箱状の物を持っています。奥では人物が仰け反っていますね。

宙に巻物が飛んでいて文字が彫ってあります。背面胴羽目の様に物語のヒントが彫られていたかもしれませんが、残念ながら現場では気が付かなかったので鮮明な写真がありません。

八坂神社御本殿左面胴羽目

〜追記(2023.01.19)↑これは古事記の根堅州国訪問の一場面、オオナムヂスサノオの髪を部屋の柱に結びつけ、スセリビメを背負って琴を持って逃げ出そうとする場面の様です。確かに奥でのけぞっている人は髪を柱に結びつけられている様です。一魁斎さんにご教示いただきました。詳しくは一魁斎 さんのコメントに貼られたリンクをご覧ください。

これは是非とも再訪しなければ。。。追記終わり〜


脇障子は小野道風。お馴染み花札の雨札の構図です。

小野道風

海老虹梁の所の壁には亀が彫られていました。

海老虹梁 

彫り物は荒削りながら素晴らしい出来だし、左面胴羽目の巻き物の鮮明な写真も撮りたいので、いつか再訪しようと思います。

刺青師・龍元

023(2021.02.11)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    こちらも八岐大蛇退治だったのですね。
    よく見てませんでした。
    再訪してみます。(笑)

    精緻さと荒削りさが入り混じったような
    彫物で、いい味が出てますね。

    この部分の欠損は痛いですね。
    外れたのはないのかしら?(笑)

    • 八坂神社ですからね。八岐大蛇退治は多いと思います。

      左面胴羽目は木目に沿って割れて外れてしまったのでしょうね。後ろの仰け反っている人の構図はどこかで見た事があるので、只今探索中です。

  2. より:

    左面胴羽目彫刻の題目は気になりますね、メジャーな題目でしたら一部欠損していても判断は出来ますが、これはレアな題目だと思うのでこの欠損は、題目判断の観点からは痛いですね。他2面の胴羽目彫刻が『日本神話・古事記』的な内容の様なので、こちらの左面もそちらで攻めてみましたがそれっぽ画像には辿り着けませんでした。題目解明は楽しさとストレスの紙一重ですね、調べるている過程で知らなかった事が判り知見が広がるので良いですが、記憶力が・・・。
    龍元さんの解読に期待します!!

    • 後ろで仰け反っている人に見覚えがあるんですよね。

      楽しさとストレスの紙一重。その通りですね。楽しいだけでは前に進みません。いつも心の何処かに引っ掛かっていて気持ち悪いです。なので、判明した時の快感は計り知れない物が有ります。

      獏とか龍だけを追いかける人もいますが、この謎解き絵解きの面白さは胴羽目でしか味わえませんね。

  3. 一魁斎 より:

    欠損胴羽目の題材ですが、恐らくは古事記の中にある、大己貴神(大国主命)と須勢理姫が寝入った須佐之男命の髪を柱に括り付けて逃れようとするも、持ち出そうとした琴が木に触れて鳴り響いたため須佐之男命が目覚めてしまう場面と思われます。参考⇒ https://www.japanese-wiki-corpus.org/jp/literature/%E5%A4%A7%E5%9B%BD%E4%B8%BB%E3%81%AE%E7%A5%9E%E8%A9%B1.html

    • 一魁斎さん こんにちは
      そんな話があるのですね。かなりレアな胴羽目なので、近い内に再訪しようと思います。ご教示ありがとうございます。

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