令和六年二月中旬 栃木県足利市の鑁阿寺に参詣しました。
![鑁阿寺本堂](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9175-1.jpeg)
建久七年(1196)創建
正安元年(1299)火災による消失のため本堂再建
応永十四年〜永享四年(1407-32)本堂大規模改造
平成二十五年(2013)本堂国宝指定
鬼瓦と龍が参詣者を威嚇します。
![鬼瓦](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8432-1.jpg)
応永十四年〜永享四年の大規模改造の時に付けられたという向拝。
![鑁阿寺本堂向拝](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9176-1.jpeg)
ですが 六百年前というと室町時代。その頃の彫り物とはちょっと考えにくいですね。
公式サイトには記載がありませんでしたが 案内板には「昭和八年に解体修理をした」 とあるので ちょくちょく改築してるのかも知れません。
![鑁阿寺本堂向拝](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8428-1.jpg)
力神さま。
![鑁阿寺本堂向拝の力神](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8420-1.jpg)
東松山市の岩殿観音の力神↓にポーズと雰囲気が似ています。
![力神](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2021/08/IMG_8882-1.jpg)
向拝の龍。
![鑁阿寺本堂向拝の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8427-1.jpg)
ここのお目当ては境内社の出世稲荷神社。
![鑁阿寺境内社 稲荷神社](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9188-1.jpeg)
足利義兼(1154〜99)が邸稲荷として建てたものらしいです。
![稲荷神社](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9187-1.jpeg)
でも 社殿は新しそうです。
![稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9178-1.jpeg)
木鼻はバカボンパパ。非常に珍です。
![木鼻の獅子](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8442-1.jpg)
胴羽目は 須佐之男命の八岐大蛇退治。
![稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9180-1.jpeg)
妙に足の長い須佐之男命です。
![須佐之男命八岐大蛇退治](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8463-1.jpg)
次元大介みたい。
![須佐之男命](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8464-1.jpg)
須佐之男命は 死神の大鎌の様な物を持っているのか と思いましたが 弧を描いているのは 振り下ろした十拳剣の軌跡か もしくは大蛇の体液。 大蛇の首がパックリ いってます。
![須佐之男命八岐大蛇退治](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8438-1.jpg)
背面です。
![稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9182-1.jpeg)
唐破風下には カエルの蟇股。 エビの海老虹梁 がある様に いつか こういう物に出会うはずだと思っていました。
![カエルの蟇股](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8466-1.jpg)
胴羽目は天孫降臨の一場面。
![天孫降臨](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8443-1.jpg)
邇邇芸命が天下りをしようとすると 高天原から葦原中国までを照らす神が行く手を阻んだので 天宇受売命が 名前を尋ねた。
「アンタ 誰?」
![天宇受売命](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8445-1.jpg)
「ワシは猿田彦神 道案内をするために迎えに来た ぽっこりお腹だが 気にしないでくれ」
![猿田彦神](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8444-1.jpg)
眉毛は塗師(注1)が塗り忘れたのだと思います。
![](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8446-1.jpg)
(注1)おそらく本職ではない
左面です。
![稲荷神社御本殿](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9185-1.jpeg)
胴羽目は天岩戸。 隠れてしまった天照大神を誘い出すために 踊り狂う天宇受売命と 岩戸をこじ開ける手力男命の他に一柱の神がいます。
![天宇受売命](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8447-1.jpg)
「ア〜レ〜 やられた〜!」
![天宇受売命](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8448-1.jpg)
背後の閃光は ホームセンターに売っている角材を流用した様に見えますが 真相は分かりません。
![天宇受売命](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8449-1.jpg)
それに 僕は彫刻師ではないので 仮にそういう事があったとしても それが邪道なのかどうか言う立場にありません。
人物の大きさが 非常に芸術的(注2)に表現されています。
![天岩戸](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8451-1.jpg)
(注2)非常に芸術的=デッサン・遠近感が狂っている事
下から見上げた バカボンパパ。
![木鼻の獅子](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8456-1.jpg)
破風にも龍の彫り物がありました。
![破風の龍](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8457-1.jpg)
新しそうでしたが キワモノ系の 非常に好みの彫り物でした。
境内には他に 蛭子堂というのがありました。
神話では 蛭子命は不具の子に生まれたため 葦船に入れられ流されます。
ちょっと胸の悪くなる話ですが そんな蛭子命と同じ神なのかどうか ここの御本尊は 蛭子女尊で 安産のききめがあるらしいです。
![鑁阿寺蛭子堂](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9189-1.jpeg)
堂内の御本殿は ただ置いてあるだけなのか それとも神様か御本尊が入っているのか分かりませんが 胴羽目がありました。
![鑁阿寺蛭子堂](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_9192-1.jpeg)
横窓が無いので よく見えません。四十年ぶりに兄に会って 石を山羊に変えた 黄初平 かも知れないと思います。
![黄初平?](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2024/04/IMG_8468-1.jpg)
こちら↓は 甘楽町の赤城神社境内社の水天宮琴平宮胴羽目の 黄初平。
![黄初平](https://ryugendo.tokyo/wp-content/uploads/2022/06/IMG_5920-2-1.jpg)
御本堂も出世稲荷神社も蛭子堂も 素晴らしい彫り物で 見応え十分 一見の価値ありです。
刺青師・龍元
036(2024.04.10)
コメント
onijiiです。
初心者感満載ですねえ。
思わず口元が緩みます。
onijiiさん おはようございます。
良い感じのキワを行ってますね。ジワジワ来ます。