令和二年三月吉日、栃木県鹿沼市の天満宮に参拝しました。
森の中へ続く階段。
なかなか雰囲気がありますね。気分が高揚してきます。
社殿は本殿を覆屋で覆っただけのシンプルなもの。
お参りを済ませて中を覗いてみると、御本殿には所狭しと彫り物が施されていました。
こりゃあ凄い。
向拝の龍。
海老虹梁の龍。今にも折れてしまいそうな繊細な波がたまりません。
木階脇には花札の雨の図案にもなっている、小野道風。
妻には風神がいます。
二重虹梁間にはナント、「珠取姫」ではないですか。藤原不比等が海で落とした宝珠を、内縁の妻の海女が取り返しに行ったら龍が追いかけて来て、海女は乳房の下を切って珠を隠して持ち帰る、という話です。胴羽目の画題としても充分過ぎる位の内容の話で、刺青でも人気です。
で、問題の胴羽目。ムムム、何とも幻想的な味わいのある作品ですね。ここの神社の雰囲気にぴったりです。宮彫り巡りの師は「少彦名命」「変神大菩薩」「神農」のどれかだろうと言っていました。
縁下。
背面。
胴羽目は「天の岩戸」。天宇受売が美しい女性として表現されてます。手前の炎の表現も秀逸で、とても勉強になります。
縁下。
右面の妻には当然雷神。
二重虹梁間には 素戔嗚尊の八岐大蛇退治。素戔嗚 の左手の下に小さな龍の頭が並んでいますね。
右面胴羽目。画題は何だかわかりませんが、私は天神様に高貴な人があれば、菅原道眞公だと思う事にしています。牛もいますしね。
縁下。
ここの一番のお目当ては実はこれ「文覚上人の滝行」。恋に狂った自分の誤ちから最愛の恋人の首を切り落としてしまった 遠藤盛遠。激しい後悔から出家して滝に打たれる場面を描いたものです。
右側の海老虹梁。
神秘的な雰囲気といい、見応えのある彫り物といい、文句なしに良い神社でした。また来よう。
再訪しました。
刺青師・龍元
040(2021.03.20)
コメント
ほとんどの題目が分かっちゃうんですね、凄いですね!!
やっぱ○○って呼びたいですが・・・。
この地域は彫刻の宝庫ですね、まだまだ公になっていない彫刻がたくさんありそうですね。
平家物語みたいな軍記物や古事記は比較的知ってるというだけです。刺青でも人気なので。太平記や仙人なんかは全く分からないので、今勉強中です。
本当ですよね。昔、爆発的な流行があったと推察します。彫り物のある社殿を建てた昔の人達も凄いですけど、それを何十年何百年も守り続けている、この地域の人達にも頭が下がります。