令和五年八月上旬 栃木県足利市の宮の沢八幡宮に参拝しました。
割拝殿。
御本殿覆屋には社号額などは無く 「祭神 祭祀 誉田別命」とだけあります。
御本殿向拝。
向拝の龍です。
龍の脇には邪鬼獅噛みがありました。向かって左。
右側の邪鬼獅噛。
非常に鑑賞のしやすい覆屋です。
脇障子に彫物は元々無いのか欠損したのか。至る所に地紋彫りが施されていて 胴羽目は非常に深彫りで精緻な仕上がりとなっています。
画題は虎渓三笑。
あることに夢中になって 他のことを全て忘れてしまう事を言います。
浄土宗の始祖の慧遠は 廬山の寺にこもって 虎渓よりも外に出ないと誓っていました。
ある日 詩人の陶淵明と道士の陸修静が慧遠法師の元を訪れ その帰りを見送るときに話に夢中になっていつの間にか虎渓を通りすぎてしまった。
虎が吠える声を聞いて 初めてそのことに気づき 三人で大笑いをしたと伝わります。
背面です。
胴羽目は龍虎相搏。力量に差のない豪傑・英雄同士が激しく戦うことを言います。
龍吟ずれば雲起こり
虎嘯けば風生ず。
左面です。
胴羽目は許由巣父。
清らかで正しい行いの事 または 出世や高い地位につくのを嫌う事を言います。
尭帝から天下を譲ると言われた許由は 耳が穢れたといって川の水で耳を洗い
牛に水を飲ませようとして川へ向かっていた巣父は 許由が耳を洗ったその水を牛に飲ませることはできないとして 引き返したといいます。
エッ!嘘でしょ?
ちょっと待って! 喉渇いてんだヨ!
お願いします! しばらく待てば 川の水はすっかり流れて行くから!
新鮮でキレイな水に入れ替わるから!
お願い。。。
。。。飲ませて。。。
素晴らしい彫物 彫り人知らずです。
刺青師・龍元
087(2023.08.31)
コメント
こちらの彫刻は素晴らしいですね、以前、足利の方に、足利でお気に入りの神社はどこですか?と聞かれたことがあったのですが、迷わずにこちらの神社をあげました。今でもそう思っていますが、足利も彫刻の宝庫です、覆屋で人目に触れない極上品が在るだろうなぁ、いつかは見たいなぁと思っています。
錺さん こんにちは、
こちらは大きい胴羽目で本当に迫力がありますね。
覆屋は少しだけでも開口部か窓が有れば嬉しいですが、完全密閉は残念ですね。それでも大事にされていれば良いですが、完全放置で人知れず朽ちて行く御本殿があるとすれば、非常に残念ですね。