直射日光と風雪に耐え続ける [角渕八幡宮] 群馬県

角渕八幡宮 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

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令和三年二月、群馬県玉村町の角渕八幡宮に参拝しました。鳥居の写真は撮り忘れました。

角渕八幡宮拝殿

拝殿向拝には見事な龍がありました。注連縄も立派。

角渕八幡宮向拝

蜘蛛の巣だらけです。

向拝の龍

建久六年(1195)勧請
江戸後期 現社殿建造
御祭神 誉田別命ほんだわけのみこと

角渕八幡宮

御本殿

見事という他ありません。雨晒しの割には状態は良い様です。

角渕八幡宮御本殿

胴羽目、腰羽目、脇障子、浜床下、縁下四隅の持ち送りなど、彫り物満載です。

角渕八幡宮御本殿

右面胴羽目は日本武尊やまとたけるのみこと熊襲征伐くまそせいばつでしょうか。

日本武尊 熊襲征伐

脇障子には珍しい彫り物がありました。

角渕八幡宮御本殿

十牛図から騎牛帰家きぎゅうきか。十牛図とは悟りの段階を十に分けた物で、騎牛帰家は第六図。「心の平安が得られれば、牛飼いと牛は一体となり、牛を御する必要もない」という意味らしいです。

十牛図 騎牛帰家

腰羽目には唐獅子の親子。

唐獅子牡丹

子獅子はちょっと痩せ過ぎと思います。獅子の道はそんなに厳しいのか。

唐獅子の親子

御本殿背面。

角渕八幡宮御本殿

胴羽目は黄石公と張良。

黄石公と張良

緻密で素晴らしい彫りです。

龍に乗った張良

腰羽目。こちらは親獅子も細身。

唐獅子牡丹

御本殿左面。

角渕八幡宮御本殿

胴羽目は高砂です。こちらは西日が当たるからでしょうか、大きな割れが何本か入ってしまってますね。

高砂
角渕八幡宮御本殿

脇障子にはこちらも十牛図から、第五図の牧牛。「本性を得たならばそこから真実の世界が広がるので、捉まえた牛を放さぬように押さえておくことが必要。慣れてくれば牛は素直に従うようにもなる」という意味。全く意味が分かりません。

十牛図 牧牛

腰羽目は唐獅子の親子。四隅の持ち送りの菊水も豪奢です。

唐獅子牡丹

随所に地紋彫りも施されていて、非常に手間の掛かった造りになっています。

状態は悪くないと言ってもやはり雨晒しですから、このまま放っておいたらどんどん劣化してしまうのだと思います。

角渕八幡宮御本殿

それにしても、この界隈は彫り物のある神社の数が多いだけでなく、彫り物の質が極上な神社が多いです。江戸末期から明治に掛けて大流行したのだと思われますが、今でもそこに行きさえすれば鑑賞できるというのは幸せな事です。日本人で良かった。

刺青師・龍元

047(2021.03.21)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    こちらも素晴らしいですね!
    獅子がリアルで好みです!!
    同好の先輩方、ありがとうございます!!!

    日本人でよかった。(笑)

    • ここら辺は何回も来たいと思わせる神社が本当に多いですね!

      埼玉県北部から群馬にかけてと、千葉と茨城の境周辺が数と質の面で物凄いですね。

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