ある時 関東のとある社に参拝しました。
向拝中備の龍と 兎ノ毛通には菊水。
脇障子は鳳凰でしょう。
扉脇板には鯉とかはいなくて 単に滝だけの様です。
浜床下は水鳥。
木階蹴込板の魚には髭がありますが これは鯉ではなく 鯰でしょうか。だとしたら珍です。
御本殿右面。
胴羽目は 林和靖の梅妻鶴子。
「廬を西湖の孤山に結んで詩作に興じ一歩も湖外に出でず
客あれば童子をして鶴を放たしむる
梅を愛し鶴を養ひ 悠々たる生涯は誠に道釈人物中の好画題である」(金井紫雲著 東洋画題綜覧)
背面胴羽目は 李白の観瀑図だと思います。
李白とは中国盛唐の時代の詩人で 望廬山瀑布(廬山の瀑布を望む)などの詩で有名です。
日は香炉を照らして 紫煙を生ず
遥かに看る瀑布の 前川に挂かるを
飛流直下 三千尺
疑うらくは是銀河の 九天より落つるかと
梅妻鶴子と観瀑図は 彩色彫り物の定番と言っても良い位に 頻繁に見かけますね。
左面です。
胴羽目は 張果老の瓢箪から駒。
別名 通玄先生。実在の人物らしいですが 八仙の一人にも数えられます。
本当は驢馬なんですが 寺社彫刻では 「瓢箪から駒」の諺と結びついて駒が描かれるらしいです。
「支那唐代の仙人で 常に白驢に跨り 日に行くこと数万里 休息する時はこれを畳んで腰の瓢に収め 用があるとその水を噴く 驢忽ち現はる その瓢の水から驢を出す図好んで描かる」(金井紫雲著 東洋画題綜覧)
刺青師・龍元
038(2024.04.17)
コメント
onijiiです。
鯰は珍ですね。
是非所在地を教えて下さいませ。
林和靖がいい顔してますねえ。
退色して寂れた感触が好物です。
歴史を感じさせてくれます。
寂れた彩色は味わいがありますね。
程良い寂れ具合の彩色彫刻は密閉型覆屋に残っている事が多い様ですが、100年200年の時間軸で考えると、光線は影響があるんですね。紫外線ですかね。
鯰は珍ですね!!超マニアの方は隅々まで観察されていますね!!
鯰は超珍ですがどこかで見たような?→上野東照宮の塀にいました
でもここは彫刻保護のためアクリル板で覆われちゃっているので反射光で×でした。
本当ですね!上野東照宮にいますね!さすが錺さんですね!
一年半前に参拝して記事にしていたのをすっかり忘れていました。忘れない様にタグを貼っておきます。って上野東照宮の記事にも鯰のタグが貼ってありましたが。。。