仏教説話と中国の高士と日本神話と二十四孝 [広沢賀茂神社] 群馬県

広沢賀茂神社 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

刺青師・ 龍元をフォローする

令和三年十二月中旬、群馬県桐生市の広沢賀茂神社に参拝しました。

広沢賀茂神社鳥居

創建年不詳
御祭神 賀茂別雷神かもわけいかづちのかみ

広沢賀茂神社拝殿

凄く雰囲気のある境内です。

広沢賀茂神社

年季の入った堂々とした御本殿。苔むした石段も良い感じ。

広沢賀茂神社御本殿

胴羽目と腰羽目に大きな彫り物があります。

広沢賀茂神社御本殿

胴羽目は仏教説話から捷疾鬼しょうしつき

韋駄天と捷疾鬼

釈迦が涅槃ねはんのとき、釈迦の遺骨の入った仏舎利を盗んだ捷疾鬼を韋駄天いだてんが追って取り戻した、という話です。

韋駄天と捷疾鬼

「こら待て、盗人め!」

韋駄天

「旦那、見逃しておくんなせえ!アッシだってお釈迦様が大好きなんでさ〜」

捷疾鬼

腰羽目には二十四孝からお馴染みの郭巨がありました。母を養うために口減らしに我が子を埋めようとして黄金のお釜を掘り当てます。

二十四孝 郭巨

知らない人が見たら「UFOを追いかけて小さな宇宙人を捕まえた所」と勘違いしてしまいそうです。彫師の表現力のせいではなく、この話の突拍子の無さが原因です。

背面に廻りましょう。

広沢賀茂神社御本殿

胴羽目・腰羽目にもしっかりと彫り物がありました。

広沢賀茂神社御本殿

胴羽目は林和靖りんなせい。梅妻鶴子、梅を妻、鶴を子の様に愛する詩人です。

林和靖

林逋りんぽともいいます。

林和靖

超絶技巧という訳ではないですが、指の関節など細かい所まで非常に丁寧に彫り込まれています。

唐子

腰羽目は二十四孝から唐夫人とうふじん。歯の無い姑に乳を与えます。初めて見た人はほぼ全員ギョッとします。直接ではなく、せめて搾乳してから与えれば良いのに、と無粋な事を想ってしまいます。

二十四孝 唐夫人

この表情!

御本殿左面。

広沢賀茂神社御本殿

鼻高老人と雲に乗った天女なので、これは邇邇藝命ににぎのみことの天降り・天孫降臨てんそんこうりんの一場面、天鈿女命あめのうずめのみこと猿田彦命さるたひこのみことに道を教わっている所でしょう。

天孫降臨

行くべき方向を指さす猿田彦神。天岩戸を開く場面で猿田彦神が描かれる事が多いですが、実際の神話ではこの時が初登場です。

猿田彦神

天鈿女命にしては美人です。この時はちゃんと服を着ていた筈なんですが、胸をはだけてますね。天鈿女だという事を強調しているのでしょうか。

天鈿女命

腰羽目は二十四孝から老萊子ろうらいし

二十四孝 老萊子

あらゆる手練手管を弄して両親を喜ばせたといいます。

老萊子

七十歳を過ぎているのに嬰児のしぐさをする息子に歳を忘れさせられている両親。僕なら騙されませんが。

両親

寂れた彩色が渋くて良いです。

広沢賀茂神社御本殿

鬱蒼とした山奥の森の中にある様な、雰囲気のとても良い神社でした。

広沢賀茂神社御本殿

刺青師・龍元

167(2021.12.25)

コメント

  1. onijii より:

    onijiiです。
    渋いですねえ!
    顔の表情が素晴らしい!!
    こちらは2回行きましたが、
    また行きたくなりました!!!(笑)

    • 彩色も大分寂れてしまっていて、良〜く見ないと分かりませんが表情まで丁寧に彫られた極上の出来ですね。

      ここはonijiiさんの所からは近くはないのに2回も行ったのですか。あれだけの数回って、さらに複数回参拝するなんて凄いです。私も再訪リストはありますが、なかなか手が廻りません。

タイトルとURLをコピーしました