令和元年霜月吉日、茨城県取手市藤代の相馬神社を訪れました。南東向きの神社です。
境内はきちんと手入れされていて、綺麗に磨かれたガラス越しに拝殿の中も丸見えで、綺麗に整頓されていました。
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由緒
元亨元年(1321)建立
安政二年(1855)火災消失
慶應三年(1867)社殿再建
明治四十年(1907)八坂神社と富士神社を合祀、相馬神社と改称
藤代市指定文化財(建造物)
側面上部は波板で覆われていましたが、採光は充分。前方と後方は直に本殿を鑑賞できます。
本殿
向拝柱には見事な 龍 の彫り物がありました。
水引虹梁の鳥は花が梅だから鶯(多分)。その上には龍。
向かって右面、木階脇羽目板には可愛らしい仕草の 獅子 がありました。
目を上に向けると妻には迫力の龍。
胴羽目は飛び出さんばかりに彫られた 素戔嗚尊の大蛇退治。奇稲田姫を守ろうとする素戔嗚が凛々しいです。
斜めに取り付けられた脇障子は珍しく横長。小さめの胴羽目という感じで、より凝った構図になってますね。横長だとより物語性のある構図が取れるという事か。刺青の場合、人間の体は基本的に縦長だから、構図の取り方に制限があるんですよね。
題目は、張遼 張良が黄石公に秘伝の兵書を授かる場面。
後方に回って、背面胴羽目は 大江山の鬼退治 で頼光らが洗濯女に出会う場面。山伏が三人しかいない。
後で調べたら脇障子の裏側に石塚喜代松と銘が彫ってあるそうなのですが、気が付かなかったなあ。また近くに行った時に見て来よう。
向かって左側の面に回って脇障子。若林純の本によると、項羽が暴れ馬の烏騅(うすい)を御する場面。
〜追記(2023.10.05)葛飾北斎の絵が元絵と思われます。
追記終わり〜
また上に目をやるとこちらの妻でも龍が睨みを利かせています。
胴羽目はまたもや 大江山の鬼退治 で頼光一行が神々の化身である翁と嫗に出会う場面。やっぱり山伏が三人しかいない。まあ物語上、頼光と従者数名という事で良い訳ですが。
こちらの階段の下にも可愛い仕草の獅子。
柱に巻きつく龍。
水引虹梁。
本殿向かって左斜めから。
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胴羽目三枚の内の二枚が大江山の鬼退治で、なんでもう一枚が素戔嗚尊の大蛇退治なんですかね。やるにしても、側面二枚を大江山にして背面を素戔嗚尊にすればバランスが良かったのに。。。
刺青師・龍元
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