260年前の極彩色彫物 [産泰神社 其の二] 群馬県

産泰神社御本殿 神社仏閣
プロフィール

彫師歴四半世紀余。東京六本木にて刺青芸術工房龍元洞を主宰。
日本のみならず、世界中で日本伝統刺青に注目が集まる中、世界の刺青大会に参加、北米・南米・欧州・豪州など各国の刺青師と交流。日本古来伝統の手彫りの技術の継承・研鑽とともに、日本文化の紹介にも力を注いでいます。

刺青師・ 龍元をフォローする

令和五年二月下旬 群馬県前橋市の産泰神社に参拝しました。

〜追記(2023.04.07)タイトルを『260年前の〜』としましたが、後で調査報告書を確認すると、胴羽目・腰羽目は後付けである事が判明している様です。 追記終わり〜

[産泰神社 其の一]の続きです。

裏へ廻ります。

産泰神社御本殿

建立年不詳の幣殿には鯉の滝登りがありました。幣殿は文化九年(1812)建立の拝殿と同じ頃の建立と推定されている様です。

鯉の滝登り

宝暦十三年(1763)建立の御本殿。縁下にも大きな庇が架けられています。

産泰神社御本殿

胴羽目は二十四孝から唐夫人。

二十四孝 唐夫人

歯が無く食べ物を咀嚼できない姑に授乳します。 直にです。

二十四孝 唐夫人

左側腰羽目は唐子の花車牽き。

花車

右側腰羽目は唐子の相撲。

相撲

下着も付けず まわしも付けず 人目も忍ばずチチくり合います。

唐子たち

こちらの方は おフグリさん丸出しで応援。

唐子たち

浜床下には馬がありました。ファイヤーパターンは霊獣の証。なのでこれは神馬ではなく海馬だと思います。

海馬

背面に廻ります。

産泰神社御本殿

背面胴羽目は高砂。

高砂

お前百まで(掃くまで)ワシャ九十九まで(熊手)

高砂 媼

ともに白髪の生えるまで

高砂 尉

やはり人は小指を立ててしまう様です。

背面にも腰羽目が二枚。腰羽目と言っても胴羽目に引けを取らない大きさです。

産泰神社御本殿

唐子の。。。行水?

唐子の水浴び

こちらは何してんでしょうね? 花が咲いているので春? 雪玉ではない?

唐子の玉転がし

真ん中の子はかじかんだ手を息で温めている様に見えますが 口に手を当てて笑っている様にも見えます。

左面です。

産泰神社御本殿

胴羽目は二十四孝の老萊子ろうらいし

二十四孝 老萊子

老萊子のご両親。。。

老萊子のご両親

を喜ばせる老萊子。齢七十を過ぎて 矍鑠かくしゃくたるものです。(かくしゃく:年をとっても丈夫で元気のいいさまのこと。Weblio国語辞典より)見習いたい。

二十四孝 老萊子

左側腰羽目は唐子の曲芸。

唐子の曲芸

こちらは象に乗る唐子?と象を引っ張る唐子?

象

ちょっと虐待チックですね。

象の虐待

こちらの浜床下にも海馬がありました。今まで珍だ珍だと思っていましたし「日本に二社しかない海馬の彫り物がある神社の内の一社」と自慢する神社もあったりしますが 気にすると案外あるもんです。

海馬

往時はさぞかし豪奢だったのでしょう。

産泰神社御本殿

大きな屋根や庇に守られてはいますが 嵐になれば雨風が吹き付けるでしょうし 260年の間日光に晒されて かつての極彩色はすっかり寂れて 僅かに胡粉の痕跡が残るのみでした。

刺青師・龍元

036-02(2023.04.01)

コメント

タイトルとURLをコピーしました